犬の去勢に関しては手術をするか否かで賛否両論があります。
特に海外と国内では去勢に対する考え方が大きく異なりますが、日本では去勢することによるメリットが多いとされ、健康な犬に関しては基本的には手術を行うことが推奨されています。
今回は、去勢手術を考える上での適正年齢やメリット・デメリット、手術費用について幅広くご紹介致しますので、手術を検討の際にご活用ください。
適正時期に去勢をしよう
去勢手術は何才であっても行うことはできますが、適正時期に手術を行うことで手術を行うメリットが最大限に発揮され、手術によるリスクも軽減することができます。
生後6か月~12か月を目安に
個体差もありますが、去勢手術の適正時期は生後6か月~12か月が基本的に良いとされています。
それ以降であると発情期特融の精神の乱れや問題行動を生じやすくなり、手術を施すメリットが最大限に発揮されなくなります。
早すぎても遅すぎても良くない
去勢手術を行う時期が早すぎてしまうと骨や関節への疾患リスクを高め、逆に時期が遅すぎると内分泌疾患のリスクを高めてしまいますので、去勢手術は時期の見極めが大切です。
ただしこの適正時期を過ぎたらかといって手術ができないというわけではありません。
適正時期でなくても手術をするメリットがあることが多いので、年齢や健康状態など配慮して獣医師にアドバイスを求めましょう。
老犬に手術は要注意
リスクを考えると老犬に去勢手術をするメリットはあまりないといえます。
若いうちに手術をしなかった老犬の体は、長い年月の間体内で性ホルモンのバランスをとっています。
その性ホルモンを老犬になって急に排除してしまうと体へ負担が大きくかかります。
その他、手術に必須とされる全身麻酔のリスクが高まり身体への負担も大きくなります。
去勢するメリットとは
去勢手術を行うことは犬自身を守るために役立つことが多数あります。
病気の予防や精神の安定によって犬自身の生活の質を上げる。引き取り手のない子犬が産まれないようにすることはとても大切です。
精神的なストレス軽減
去勢をすることによって犬自身、または飼い主の精神的ストレスを軽減することができます。
犬は発情期になると性ホルモンのバランスが乱れて落ち着きがなくなったり、ライバル犬に対しての攻撃性が増えたりと精神的にストレスがかかります。
去勢をすることによって発情が抑えられ犬自身の精神面の負担を減らすことができます。
また、発情中に飼い主の言う事を聞かなくなる犬が多くいます。
他犬へのマウンティングが問題となったりマーキングが増えたりすることもあるので、去勢によりそれらを排除することは飼い主の精神的ストレス軽減にもつながります。
病気を未然に防ぐ
去勢をすることによって未然に防ぐことのできる病気がたくさんあります。
代表的な病気としては、精巣内の腫瘍、前立腺肥大や前立腺炎といった前立腺疾患や肛門周囲腺腫です。
これらの病気は去勢をすることによって確実に発症しなくなるわけではありませんが、割合で考えるといずれの病気も去勢をした犬のほうが、遥かに未去勢の犬よりも発症率が少ないことが証明されています。
不幸な命を作らない
犬は一度の出産で平均6?10匹の子犬を産みます。犬の年齢や犬種、個体差によってもその数は異なりますが、予期せぬ出産で引き取り手のない子犬がたくさん産まれてしまいます。
去勢や避妊手術を行わずにどんどんと子犬が増えてしまい多頭飼育放棄という話をよく聞きます。
引き取り手のない子犬は保健所で殺処分されてしまう場合もありますので、不幸な命を減らすためにも去勢は必要であると考えられます。
去勢するデメリットとは
去勢手術を行うデメリットには体質が変わることが原因で起こりうる肥満のリスク、全身麻酔リスクなどがあります。
その他様々なデメリットが挙げられますが、これら2つを除いた以下のデメリットに関しては現時点では国や専門家によって見解が異なるものばかりであり、確実に証明されているわけではないものも多くあります。
肥満には注意しよう
去勢手術を行うと性ホルモンの分泌が行われなくなります。それに伴い犬の活動量は減少して肥満になりやすくなります。
去勢手術を行った後は、フードの見直しや量の調整によって体重管理を行う必要があります。
全身麻酔のリスクが伴う
去勢手術を行う際には全身麻酔が必須となります。
全身麻酔のリスクとしては一時的なものや生死にかかわるものまで様々です。
犬に麻酔をかけると心肺機能が侵されるため、呼吸の抑制や血圧の低下が生じます。
それに伴い循環障害や呼吸器障害、肝機能障害などの様々な障害が起こり得ます。
犬の年齢や状態、個体差によってリスクに差はでますが全身麻酔はどんな犬であれ少なからず身体への負担があることを理解しておく必要があります。
性格が変わってしまう可能性がある?
確実な根拠は未だ判明していませんが、去勢をすることによって犬の性格が変わるという話もあります。
去勢をすることによってオスは手術前よりも甘えん坊になることが多いと言われています。
甲状腺機能低下症のリスクが増える?
現段階では明確な結論としては発表されていませんが、去勢手術によって甲状腺機能低下症になる危険性が増えるという専門家が多くいます。
去勢をすることによって性ホルモンの分泌に影響を与えますが、甲状腺機能低下症についても同じく性ホルモンの分泌に影響を与える疾患であることから、それらの関連性について調査が進められています。
去勢にかかる費用
犬の去勢費用の目安は20,000円~40,000円です。
避妊手術の費用は犬のサイズや病院によっても異なりますが、基本的にオスの去勢手術の場合はメスの避妊手術に比べて安く、大型犬より小型犬の方が費用が安いとされています。
停留睾丸の場合は高額に
精巣が腹腔内や皮下組織の中に留まってしまっている状態の停留睾丸の犬の場合は、メス同様に開腹手術が必要になります。
去勢手術費用に別途費用が追加されるので高額となります。
目安として、去勢手術費用に別途7,000円~18,000円程度が加算されます。
体重によって異なる手術費
去勢手術費用は、施術範囲が広がったり麻酔量が増えたりすることにより体重が多くなるにつれて高額になります。
40kg以上あるような超大型犬では40,000円を超える場合もあります。
まとめ
犬の去勢手術について幅広くご紹介致しましたが、去勢は犬の体や精神面の健康に役立つメリットが多くあります。
犬の生活の質の向上のためにも、不幸な犬をこれ以上増やさないためにも犬の去勢についてしっかりと考える必要があります。