日本では近年猛暑が続き、夏場の日中は30℃を超えることも珍しくなくなりました。
その気温が原因で、熱中症になる方が増加しています。
しかし熱中症は、人間だけではなく犬にも起こります。
冷房を使用して、室内温度に気を付けているつもりでも、愛犬が荒い息をしていることはありませんか?
今回は、愛犬が快適に過ごすことのできるエアコンの設定温度や、注意点についてご紹介します。
犬に冷房は必要?
実はペットの中でも犬は、特に暑さに弱い生き物と言われています。
そのため、エアコンなどの冷房器具は、暑い夏に必要不可欠です。
まずは、犬が暑さに弱い理由と、数多くある犬種の中でも「特に暑さが苦手な犬」についてご紹介します。
犬が暑さに弱い理由
オーストラリアやアフリカなど、暑い地域が原産の犬種もたくさんいるにも関わらず、どうして犬は暑さに弱いのでしょうか。
人間の場合は、全身に無数にある汗腺から熱を放出していますが、犬には肉球と指の間にしか汗腺がありません。
そのため、舌を出しパンティングすることで体内の熱を放出し、体温を下げようとします。
このように犬は、体温調節ができる器官が少ないため、暑さに弱いと言われています。
暑さに弱い犬種
シーズーやパグなどの鼻が低い犬種は、体の構造上呼吸がしづらく、体温調節が苦手な犬種です。
そのほかにも、ハスキーやサモエドなどの北方原産の犬種は、寒い北国で生活をしていたルーツがあるため、被毛も他の犬種と比べて分厚く、暑さに弱い犬種と言われています。
また、プードルのような長毛種の犬種も、被毛の中に熱がこもりやすく、体温調節が苦手と言えます。
犬種の特徴だけでなく子犬や老犬、肥満な犬も体温調節がうまくできない場合があるため注意が必要です。
暑い日には冷房を活用し、愛犬の体調にあった適切な室温を保つことが重要です。
犬にとって快適な温度
本来犬にとっての快適な温度は22℃で、湿度は60%と言われています。
普段の生活では、冷房の設定温度は25~26℃で、湿度50%前後に設定しましょう。
人間より体温の高い犬にとって、この温度より室内の温度が高いと熱中症になる可能性があります。
そのため、私たちが快適に感じる温度から1~2℃低い温度が、犬にとって快適な温度と言えます。
エアコンを使用する時の注意点
最新のエアコンには人感センサーといって、人を感知して作動するタイプのエアコンがあります。
この人感センサーの機能が付いた状態だと、犬が感知されず、エアコンが自動的にオフになってしまいます。
閉め切った室内で、エアコンがオフになると室内の温度はあっという間に50℃近くになることもあります。
留守にする際には、必ず人感センサーの機能を切るようにしましょう。
また冷房を活用することで、熱中症を防ぐことはできますが、室内が冷えすぎることも危険です。
特に、子犬や老犬、小型犬は体温が下がるのも早いため、下痢などの体調不良になる可能性があります。
快適な温度は、あくまでも目安です。
愛犬の様子を見ながら、その都度愛犬に合った温度調節をしてあげましょう。
多頭飼いの場合
多頭飼いをしていると、どの子にエアコンの温度を合わせていいか悩みますよね。
目安としては、一番暑さを感じやすい子に合わせてあげましょう。
その代わり、犬用の毛布やタオルケット、冬に使うような温かい犬用ベッドなどを用意して、愛犬が自分で温度調節できるように、工夫してあげましょう。
エアコン以外の暑さ対策
エアコンだけでも、愛犬の暑さ対策には効果的ですが、電気代や部屋の換気、飼い主の健康上、寒すぎると感じる場合もありますよね。
エアコン以外の冷房器具も併用することで、その悩みは解決するかもしれません。
扇風機やサーキュレーター
扇風機やサーキュレーターは、冷房から出た涼しい風を部屋全体循環させることができます。
ただし、羽の付いているタイプのものを使用する際は、愛犬がケガをする可能性があるのでカバーを付けましょう。
留守にする時は、ケージで過ごしてもらう方が安心かもしれません。
遮光カーテンや緑のカーテン
夏場の直射日光はとても暑く、人間でも肌がヒリヒリとすることがありますよね。
冷房付けた室内でも、窓辺の直射日光が当たっている場所は、非常に温度が高くなります。
そのため、遮光カーテンや、アサガオなどのツル性の植物をカーテンのようにする緑のカーテンを利用して、愛犬に直射日光が当たらないように工夫しましょう。
犬用ジェルマットやアルミ板
犬用のジェルマットには、保冷材が入っており冷たい状態が維持できます。
しかし、ジェルマットは柔らかいため噛み癖のある犬には不向きです。
アルミ板も、ジェルマットのように冷たい状態を維持することができます。
しかし、中には硬いところで寝ることを好まない子もいます。
ジェルマットもアルミ板も、愛犬に無理強いをせず、愛犬に合ったものを選んであげましょう。
クール素材の服
犬用の服はたくさんありますが、その中でも夏用の涼しい素材の洋服を着せてあげましょう。
バンダナやベストなど、着脱の簡単なものもあります。
また、服を軽く濡らした状態で着せることで、気化熱により涼しい状態を維持できるものもあります。
こうした涼しい素材のものは、自宅だけでなく散歩の時にも活用できるため、1着だけでも準備しておくと便利です。
要注意な犬の様子
室内の温度に注意をしていても、子犬や老犬などは温度の変化に敏感なため、体調を崩してしまうこともあります。
- 舌を出してハァハァとしている
- 肩で息をしている
- 舌の色が赤黒く見え、目が充血している
- 尿をもらしている
といった様子が見られたら、熱中症の可能性があります。 全身に水をかけたり、首や脇の下、手足の付け根に冷やしたタオルを当てて応急処置をしながら、急いで動物病院を受診しましょう。
まとめ
今回は、愛犬のためにできる夏場の暑さ対策についてご紹介してきました。
犬は暑さに弱いだけでなく、とても我慢強い生き物です。
そのため、暑くても我慢してしまい飼い主が、愛犬の異変に気付くことができない場合もあります。
熱中症は、犬であっても死に至る可能性があります。
ご紹介した冷房の設定温度は、あくまでも目安のため、その日の愛犬の体調や、愛犬の性格に合った温度調節をするようにしましょう。
愛犬の暑さ対策は、愛犬の命を守ることです。
これから来る暑い夏に備えて、飼い主だけでなく愛犬の暑さ対策も一緒にしていきましょう。