犬は人間に比べ、吐きやすいといわれています。
そうは言っても実際に愛犬が突然嘔吐してしまうと、飼い主としては本当にびっくりしてしまいますし、何よりも心配ですよね。
アクシデント的な嘔吐ならまだしも、どこか身体の具合が悪かったり、万が一病気によるものだったりしたら…考え出すと不安が尽きません。
今回はそんな犬の嘔吐について詳しくご説明してまいりたいと思います。
病気のサインや応急措置などについてもまとめましたので、参考にされてください。
犬の嘔吐・吐出は何が原因で起こるの?
早速、犬の嘔吐・吐出の原因を探っていきましょう。
ちなみに嘔吐についてはイメージしやすいですが、この「吐出(としゅつ)」という言葉はなかなか聞きなれませんよね。
「吐く」という行為は、「嘔吐」と「吐出」の場合に分けられるのですが、どういった違いがあるのか、またそれぞれ何が原因で起こるのか、間単にご説明いたします。
犬の嘔吐の原因とは
嘔吐
口から取りこんだ食べ物や飲み物が、胃腸から排出されてしまうことをいいます。
一旦胃腸まで届いているので、吐いたものがある程度消化されている場合があります。
このように、嘔吐は一旦は胃や腸まで達しているので、原因は消化器官の不調にあると考えられます。
また、胃腸だけでな腎臓や肝臓などの内臓疾患が原因という場合もあるので、注意が必要です。
他にも食べ物や飲み物による中毒症状や、ストレスが原因になることもあるようです。
犬の吐出の原因とは
吐出
吐出は、吐き出しとも言われます。
口から取りこんだ食べ物や飲み物が、胃腸に達する前に排出されてしまうことをいいます。
そのため、吐いたものが消化されておらず、場合によっては再び口に入れて食べようとする場合もあります。
このように吐出は胃に達する前に起きる現象ですので、喉や食道の不調に原因があると考えられます。
吐くということが続いた場合、胃酸の逆流により食道に炎症が起こったり、腫瘍などが出来て食べ物をうまく取り込めなくなってしまっているのかもしれません。
まれではありますが、中には先天性の異常などが原因で吐出を繰り返してしまう犬もいるようです。
嚥下障害とは?予兆や原因をチェック
吐くという現象が、障害によって発生しているという可能性もあります。
それが「嚥下(えんげ)障害」という機能的な異常です。
嚥下障害がある犬は、食べ物や飲み物を飲み込むことが出来なかったり、痛みにより飲み込みづらそうだったりといったことが見られます。
よって、飲み込む仕草などに予兆が表れる場合が多いです。また飲み込めないまま吐き出したり、飲み込んですぐ吐き出したりしてしまうのが特徴です。
嚥下障害の原因は口腔内・咽頭・食道にあります。具体的には無症筋無力症や甲状腺機能低下症といった疾患です。
加齢などの影響も大いにありますので、シニア犬を飼ってらっしゃる方はより注意が必要です。
嘔吐・吐出してしまいやすい犬とは
嘔吐や吐出の原因についてご説明しましたが、こういった現象が起こりやすい犬とはどんな犬なのでしょうか。
ある程度の傾向について知っておくことで、日頃から注意して観察したり、いち早く異変に気づくといったことに繋がるかもしれませんので、しっかり学んでおきましょう。
吐きやすい犬種っているの?
ブルドッグ・フレンチブルドッグ・ボストンテリア・パグ・シーズー
こちらの犬種は比較的嘔吐・吐出が見られやすいといわれているようです。
その理由は短頭種であるという点にあります。
短頭種とは鼻の長さ、いわゆるマズルが短い犬のことです。上記の犬種はどれも見た目に共通点が感じられますもんね。
また、チワワやポメラニアンなど、小型犬の中でも特に小柄な犬種にも嘔吐や吐出の傾向がみられます。
吐きやすい時期っていつ?
犬種に関わらず、吐きやすい時期というのが犬にはあります。
まずは子犬の時期です。好奇心がとっても旺盛な時期なので、誤飲・誤食といったアクシデントが起こりやすいという理由が1つ。
もう1つは、成長期なため食事の量や食事のバランスがばらついてしまいがちであるという理由からです。
また、シニア犬になるに連れて嘔吐・吐出が多く見られるようになります。
歳をとることで消化機能が衰えてしまったり、飲み込む力が弱まったりということが影響しているようです。
その際は、消化に良い食事に変えてあげるというのも有効かもしれませんね。
嘔吐の対処法や応急処置について
ではここからは、実際に愛犬が嘔吐してしまったという場合の対処法や、動物病院に連れて行くまでの応急処置についてご説明いたします。
突然の嘔吐に焦る気持ちもわかりますが、飼い主さんの冷静な対処・応急措置が大切な愛犬を守ることにもつながりますので、しっかりと学んでいきましょう。
何度も繰り返して吐く際の対処法・応急措置
1日に複数回吐いたり、連日続いたりといった場合は、病気を疑う必要があります。
またその際は嘔吐の前から何かしらの予兆があることが多いです。
元気がない、えずいている、食欲がないなど思い当たる節がないか、振り返りましょう。
複数回吐いた日はなるべく当日中に動物病院に連れて行くのが良いです。
また誤飲・誤食は、重大な疾患を引き起こしてしまうリスクもあります。
室内外の犬であれば、室内にあるはずのものがなかったり、一部が噛みちぎられていたりということもあるかもしれませんので、確認しておきましょう。
誤飲の原因について少しでもわかった事があれば、不確定な状態でも構いませんので、きちんと獣医さんにお伝えしましょう。
また、消化不良などを起こしている際は便に表れている可能性もあります。出来れば動物病院に行く際に持参しておきましょう。
吐物の写真を撮っておき獣医さんに見てもらうというのも良いかもしれません。
突発的に嘔吐した際の対処法・応急措置
突発的に一度だけ嘔吐した場合は、自宅で様子をみてから考えるという手もあります。
犬は嘔吐しやすい動物ですので、たまたま吐いただけでそれ以外の変化や不調が感じられない場合は、あまり深刻に考える必要はありません。
とはいえ精神的ストレス・食事が合わない・食べ過ぎといった場合もありますので、消化に良い食事に変えたり、ドッグフードをふやかして食べやすくしてあげたりといった対処法も良いかもしれません。
絶食という方法をとる場合もあるようですが、あまり自己判断せずに、獣医さんのアドバイスを受けた上で決めたほうが良いでしょう。
食事中にエサを吐き出した際の対処法・応急措置
食事中に吐いた場合は、嘔吐よりも吐出の可能性が高いです。
その際は吐いたものが消化されていないはずですので、きちんとチェックしておきましょう。
大食い、早食い、空腹から突然食べたことによる反動など、食べ方によって引き起こされている場合がありますので、食べているときの様子をさりげなく観察しておくと良いですね。
散歩中などに拾い食いをしていないか、注意しておくというのも重要です。
また、ゆっくり食事することで吐かなくなったという例もあります。最近ではペットショップなどで、食べるのに時間がかかるエサ入れなど早食い防止グッズなどが販売されていますので、そういったものを利用して様子を見るというのも手です。
犬の嘔吐に関するまとめ
さて、今回は犬の嘔吐に関する様々な情報についてまとめてまいりました。
嘔吐と吐出の違いやそれぞれ考えられる原因などについてもご説明いたしましたがいかがでしたでしょうか?
愛犬が嘔吐すると、パニックや大きな不安に陥ってしまう飼い主さんもいらっしゃると思いますが、まずは落ち着いて冷静に対処することが何よりも大切です。
適切な措置や予兆にいち早く気づくことが、その後の治療において大きな意味を持ってきますので、今回の記事を念頭にいれておいていただけると幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。