犬の生理(ヒート)中は、ドッグランやドッグカフェを利用できなかったり、利用できてもオムツやマナーパンツの着用を義務づけています。
では、愛犬のお散歩にもオムツは必要なのでしょうか?
犬の生理中に制限が必要となる理由を理解できていなければ、思わぬトラブルにも繋がります。
そこで今回は、犬に生理痛はあるのかと誰もが思う疑問と、生理中の散歩はオムツを付ければ大丈夫なのかについてご紹介します。
犬の生理(ヒート)とは?
避妊していないメス犬を飼っていれば、1年に2回の生理(ヒート)があります。
人間の生理とは周期も違えば、犬には閉経もありません。
うちの子は高齢になって生理が終わった、と言う飼い主さんもいますが、生理の出血量が少なかったり、犬が自分で舐めてしまっているために気付かないだけです。
人間とは違う生理ということを理解するためにも、ここでは犬の生理について見ていきましょう。
犬の生理①発情前期
犬の生理は、生後6ヶ月~10ヶ月を過ぎた頃から始まります。
犬によっては1歳になってから始まることもあり、避妊をしていない犬であれば生理があります。
今までは春と秋頃に生理がくると思われていましたが、近年になって季節は関係のないことが分かってきました。
発情前期と呼ばれる期間に外陰部が膨らみ充血して、陰部から出血がみられます。
発情前期は6日~10日間程度で、まだ発情期ではないため、オス犬を受け入れることはありません。
犬の生理②発情期
発情前期が終わると、発情期に入ります。
濃い色をした血も徐々に薄くピンク色になり、出血量も少なくなりますが、発情期の期間は8日~14日間続きます。
出血がなくても生理中で発情期である可能性があるため、この期間は注意が必要です。
発情前期と合わせると20日間前後が犬の生理期間となりますが、1ヶ月以上出血が続く場合は子宮の病気を患っていることも考えられるため、動物病院を受診する必要があります。
発情期が終わると、発情休止期間、無発情期間というサイクルで、小型犬であれば5ヶ月~7ヶ月間隔、大型犬であれば8ヶ月~12ヶ月間隔で繰り返されるのです。
犬の生理中の散歩はオムツが必要?
犬の生理中には、室内に血液が垂れてソファーやベッドを汚してしまうことから、オムツをされている方も多いでしょう。
また、愛犬と一緒にドッグカフェにお出かけするにしても、生理中の犬にはオムツやマナーパンツが義務づけられていますね。
それでは、生理中の犬の散歩でもオムツを付けたほうがいいのでしょうか?
出血がほとんどみられなければ、オムツを外している方も多いと思いますが、ここでは犬の生理中の散歩にオムツが必要か見ていきましょう。
生理中の犬の散歩は細心の注意が必要
結論を言ってしまえば、オムツの有り無しはあまり関係ありません。
しかし、生理中の犬の散歩には、細心の注意が必要です。
メス犬の生理中に出るフェロモンは、オス犬を興奮させてしまい、しつこく付きまとったり、交尾行動に出ることも珍しくありません。
例えオス犬の飼い主さんがリードを握っていても、想像以上の力でオス犬はメス犬に突進してくるため、リードが外れてしまうことも考えられます。
そういった意味では、出血量がわずかでもオムツを付けていれば、生理中ということをオス犬の飼い主さんに分かってもらうことができ、近寄らないようにしてもらえますね。
また、生理中のメス犬は精神が過敏になっており、しつこいオス犬に怒ってケンカを仕掛けてしまうこともあるため、生理中の犬の散歩には細心の注意が必要となるのです。
犬が散歩に行きたがらない時は無理をしない
生理中の犬に散歩をさせることは、賛否両論の意見があります。
メス犬の出すフェロモンは、2km先のオス犬にも届くためにオス犬を発情させてしまいます。
発情したオス犬の交尾をしたいという欲求は叶えられることもなく、ただストレスを感じさせてしまうことや、実際に鎖に繋がれていた犬が鎖を引きちぎって、メス犬に飛び掛かって交尾してしまうこともあるほどです。
しかし、散歩が好きな犬であれば、散歩に行けないストレスを溜めさせることになってしまうため、とても難しい問題です。
ただ、生理が来ることで散歩に行きたがらなくなる犬もいるため、そんな時は無理をして連れ出すことはせず、家で休ませてあげましょう。
オムツやマナーパンツで気を付けること
犬のオムツやマナーパンツは、生理中の出血で周りを汚してしまうことを防げたり、散歩やドッグカフェのマナーとして付けられる便利なものではありますが、気を付けなければいけないこともあります。
オムツやマナーパンツによって陰部周辺がかぶれてしまい、細菌性膀胱炎になってしまったり、陰部周辺の皮膚炎で激しい痒みに襲われることもあります。
付けっぱなしにするのではなく、愛犬の様子を見て使用するようにしましょう。
また、歩くたびにカサカサと音がすることを嫌がったり、外そうとして噛みちぎり、誤って飲み込んでしまうこともあるため気を付ける必要があります。
犬に生理痛はある?
犬の生理と人間の生理は、周期が違うだけではありません。
そもそもの生理の意味合いが違うため、人間の生理とは異なります。
しかし出血をしていたり、だるそうにしている姿を見ると、もしかして生理痛なのかな?と、心配になる方もいるでしょう。
ここでは、犬に生理痛があるのかを見ていきましょう。
犬に生理痛はない
犬に生理痛はありません。
私たちが感じる生理痛というのは、排卵が起こって子宮の内膜が妊娠しても大丈夫なように膨れますが、妊娠しなければ新しい内膜を作るために、いらなくなった古い膨れた内膜が剥がれ落ちることで起こるのと、排出するために子宮が収縮することで激しく痛みを伴います。
それに対して犬の生理は、排卵前に子宮内膜の血管が発達して、血管から血液が染み出ている状態なだけのため、生理痛のような痛みを感じることはないのです。
もし愛犬が痛がっているようであれば、生理以外の原因が考えられますので、動物病院を受診してください。
犬の生理中の症状
犬に生理痛はありませんが、様々な症状が見られます。
犬が生理なのか病気なのかわからず、動物病院に行くことを悩む方も多いので、犬の生理中の症状を知っておきましょう。
- 落ち着きがなくなる
- 怒りやすくなる
- ぬいぐるみなどにマウンティングする
- 食欲が低下
- 元気がなくなる
- 散歩に行きたがらない
これらの症状は、ホルモンバランスの崩れによる自然なものなので、特に心配をすることなく見守ってあげれば良いのですが、まったくご飯を食べないような時は、獣医師さんに相談するようにしましょう。
犬の生理中の散歩は気を付けよう!|まとめ
今回は、犬の生理中の散歩にオムツを付けることについてや、犬の生理通についてご紹介しました。
犬にとっても生理の時は精神が敏感になっているため、リラックスさせてあげるマッサージをしたり、散歩やお出かけ時にトラブルにならないように、周りにも愛犬にも細心の注意を払ってあげることが大切です。
犬の避妊手術には賛否両論ありますが、愛犬の生理ストレスを軽減したり、乳腺腫瘍や子宮の疾患の予防のためにも、考えてみてもいいのかもしれませんね。