愛犬の散歩中、見ず知らずの人や他の犬に向かって吠えるなどの威嚇行動に、頭を悩ませている方も多いでしょう。
犬が威嚇する時には、さまざまな理由があります。
だからといって、犬に威嚇させたままでは相手もびっくりしますし、怒って攻撃してくる犬もいるかもしれません。
また、愛犬が攻撃行動に出る可能性もありますね。
そこで今回は、犬が威嚇している時の鳴き声や行動と、飼い主がすべき対処法についてご紹介します。
犬が威嚇する気持ちや理由を知ろう
犬の威嚇は、様々な場面で目にすることがあるでしょう。
犬のご飯中や遊んでる時、散歩中、家に誰かが訪ねてきた時、さらには夫婦喧嘩や兄弟喧嘩の最中など、見ず知らずの人や犬だけでなく飼い主に向かって威嚇することもあります。
犬がどんな気持ちで威嚇しているかを知ることは、対処するにあたってとても大切なことです。
まずはじめに、犬が威嚇する気持ちや理由を知っておきましょう。
縄張り主張からの威嚇
犬は自分の縄張り意識が高く、見知らぬ人や犬が自分のテリトリーに入ることを嫌がります。
「私の(僕の)縄張りから出て行って!入ってこないで!」という気持ちから、威嚇することで追い出そうとしているのです。
また、遊んでいるおもちゃを取り上げようとしたり、ご飯を食べている時に取り上げようとすると威嚇するのは、「これは私の(僕の)もの!邪魔しないで!」といった気持ちからです。
恐怖心からの威嚇
犬が嫌なことをされそうになった時に、それを察知して威嚇することもあります。
爪切りや耳掃除、ブラッシングやシャンプー、動物病院など、嫌だと思って逃げ出したいのに逃げられなくて追い詰められると、威嚇して「嫌だよ!やめて!」と訴えているのです。
過去に痛い思いをしたり、嫌なことをされた経験があることで引き起こされることもありますが、知らない環境に不安やストレスを感じての行動でもあります。
仲間を守るため
犬は、母性本能や仲間意識がとても強い動物です。
家のインターホンが鳴ると吠えたり、誰かが家にくると吠えたり唸るというのは、「何しに来た!出てけ!」という気持ちで、飼い主や家族を守るために威嚇しているのです。
もちろん自分の縄張りに誰かが侵入した、という気持ちもありますが、「仲間は自分が守るんだ!」という気持ちのほうが強いようです。
また、夫婦喧嘩や兄弟喧嘩などの最中に犬が威嚇をすることもあり、犬が大切に思っている人が怒られていると「やめて!お母さん(お父さん)をいじめないで!」と訴えているのです。
痛みからの威嚇
体のどこかにケガや病気などで痛みがある場合に、犬は「触らないで!」と威嚇することがあります。
特定の場所を触ると威嚇してくる場合には、何らかの痛みを感じているため、無理に場所を特定しようとせず動物病院を受診しましょう。
犬は言葉が話せませんし、痛みや体の不調を限界まで我慢してしまうことがあります。
意味はないけど威嚇してみた
犬が遊びの延長で興奮状態だったり、何か気に入らないことがあると八つ当たりなどで意味もなく威嚇することもあります。
何も思い当たるふしがなければ、犬の気分的なものですので特に気にすることはありません。
しかし、稀に脳神経や脳に異常があることで、痛みや幻覚などから威嚇していることもあるため、愛犬の様子がいつもと違うと感じた場合には、念のため動物病院を受診するようにしましょう。
犬が威嚇している時の鳴き声や行動は?
愛犬の威嚇に限らず、他の犬が威嚇している時に近付くのはとても危険です。
基本的に犬は争いごとを避けるために威嚇をしているのですが、その犬その犬でここからは威嚇ではなく攻撃する、というラインは異なります。
ですから、犬の威嚇している時の鳴き声や行動を知って、少しでも危険を回避できるようにしましょう。
犬が威嚇している時の鳴き声
犬が威嚇している時の鳴き声は、「ワワワワワンッ!」と速いテンポで連続して吠える場合や、「ヴウゥ~ッ」や「ヴー」、「グゥー」などの低い唸り声です。
犬の表情を見れば歯を剥き出していたり、鼻にシワを寄せていたり、尻尾がピンと立っているので威嚇していると分かります。
犬によっては、嬉しく興奮しすぎて「ヴウゥ~ッ」と威嚇しながら、尻尾をブルンブルン振る犬もいるため、普段から愛犬の喜び方や怒り方を観察しておきましょう。
また、「ガルルルルッ」と犬が唸っている時は、攻撃態勢に入っている状態のため、愛犬であれば落ち着かせる、他の犬であればその場から離れる、といった行動が必要です。
犬が威嚇している時の行動
犬が威嚇している時は、鳴き声の他に様々な行動が伴います。
まず威嚇する対象を見つけたら、体に力が入り硬直させたかのようにその場でグッと前足を踏ん張って、前方に重心をかけます。
それと同時に相手を睨みつけ、歯を剥き出して唸ったり、鼻にシワを寄せながら吠えたりします。
場合によっては空気を噛むような仕草、「空噛み」を行うこともあり、そのまま本当に噛みついてしまうこともあるので注意が必要です。
犬の威嚇に飼い主がすべき対処法
犬の威嚇には犬なりに理由があるのですが、威嚇行動が発展すると攻撃行動となり、相手の人なり犬を傷つけてしまう危険があります。
またその逆に、威嚇された相手が怒って、愛犬に危害を加える恐れがあることも考えておかなければいけません。
そういった事故は多く、命を落としてしまう犬も少なくないため、飼い主は愛犬を守るためにも適切な対処が必要です。
ここでは、犬の威嚇に飼い主がすべき対処法をご紹介します。
犬の気持ちを察してあげる
愛犬が威嚇を始めたら、何が原因となっているか考えてあげましょう。
他の人や犬を気にするようであれば愛犬の視線を遮る、気をそらす、「大丈夫だよ」と優しく声をかけて落ち着かせるなど、愛犬の気持ちを察してあげることが大切です。
愛犬が威嚇対象から視線を外し、飼い主の方を見たらたくさん褒めてあげましょう。
怒らずに落ち着いて対応する
愛犬が威嚇したら、「ダメ!」と叱りたくなってしまいますが、それは逆効果です。
威嚇をしている時は極度の興奮状態と緊張状態のため、そこで飼い主が叱るのは犬の緊張状態が解けずに、もやもやと悪い気持ちの状態を引きずることになります。
また、飼い主の焦りが興奮状態を助長させてしまうことにもなるため、落ち着いて優しく名前を呼び、リードを軽く2、3回引いて合図を送ってから、その場を離れるようにしましょう。
他の犬が威嚇してきたらその場を離れる
愛犬との散歩中に、他の犬が威嚇してくることもあります。
愛犬が怯えているだけなら、そのままその犬が通り過ぎるまでやり過ごすこともできますが、威嚇されれば威嚇し返すことが無いとは言えません。
飼い主が焦るのは厳禁なので、愛犬の気を惹きながらゆっくりその場を離れるようにしましょう。
犬の威嚇にも意味があることを知っておこう!|まとめ
今回は、犬が威嚇している時の理由をはじめ、威嚇している時の鳴き声や行動、飼い主がすべき対処法についてご紹介しました。
犬は言葉が話せない分、鳴き声や行動で何かを訴えています。
犬の威嚇にもきちんと意味があり、決して意味なく吠えたり唸っているわけではありません。
どんな問題行動でも、犬の気持ちになって考えれば自ずと対処法は見えてきます。
犬が威嚇することとなる原因を知って、きちんと対処してあげましょう。