犬は人間社会において様々な方法で人と協力し合い、時には支援してくれる大切なパートナーとなっています。
なかでも盲導犬や聴導犬、介助犬等の補助犬は、身体の不自由な方の生活を向上させる役割を担っており、その具体的な内容について理解しておくべきです。
ここでは介助犬に焦点をあて、その種類や適している犬種、また介助犬になるための訓練などについてご紹介いたしますので、ご興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
介助犬はどのような仕事をする犬?
日本において身体の不自由な方の生活を向上させるとして知られており、その手助けをするため専門訓練を受け認定された犬たちです。
その仕事は、介助という動作補助だけでなく幅広い領域まで及んでおり、介助犬の使用者の心と身体の支えとなっています。
まず介助犬が行う仕事の種類や適している犬種等についてご説明していきます。
日本で介助犬はいつから活躍しているの?
もともと介助犬は1975年に米国で活動が開始されており、日本においては1995年に第一号が誕生しています。
そのため現在、国内の使用者のもとで補助活動を行っている介助犬の頭数は、65頭と少なく、今後は認知度向上と育成強化が課題です。
介助犬が行っている仕事の種類
日本で知られている介助犬の仕事の種類は、障害をもつ人の生活を手助けする補助作業ですが、海外では特別に訓練された犬が、病気を患っている方に寄り添い、何か問題が発生した際にサポートする介助犬もいます。
そこで「障害をもつ方の手足となる身体障害者介助犬」を除く介助犬の種類をご紹介していきます。
まず「自閉症に悩む方を手助けする自閉症介助犬」ですが、使用者の安全を守り取り乱したときに落ち着かせるよう訓練を受けており、使用者とその家族を精神的に手助けする犬です。
次に糖尿病による体調異変を知らせる「糖尿病患者のための介助犬」、てんかん発作を抱える方を支える「てんかん発作介助犬」などの仕事内容は、血糖値の上昇や発作を家族に知らせたり、また体調不良時は、使用者に寄り添い見守ります。
さらに緊急時に救急車を呼ぶため緊急ボタンを押せるよう特別訓練を受け、24時間人を手助けするのです。
このように特定の病気に悩んでいる人を手助けする種類の介助犬は、日本で普及が遅れており、今後が期待されています。
介助犬に適している犬種は?
ここでは身体障害者介助犬に適している犬種についてご説明いたします。
人の生活行動を補助する観点から、まず非常におとなしく落ち着きある性格が必要で、興奮してしまう犬は不向きです。
また、使用者以外の人や他の犬などに攻撃的な態度を示したり、食べ物をねだる犬は介助犬として不適格となります。
従いまして、優秀な介助犬とは、人間の行動に敏感に反応し、人が大好きで人を喜ばせようとする性質をもつ犬です。
そのなかで最も介助犬に適した性格の犬種は、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリーバーとなります。
日本の介助犬も、おおむねこの犬種が多いようですが、他の犬種ではスタンダードプードルも好まれているようです。
基本的に犬種も重要ですが、健康で人と一緒にいることが大好き、そして集中力と作業を行う意欲のある性格の犬が介助犬にとって必要な要素と言えるでしょう。
介助犬になるための訓練について
介助犬への道のりは、子犬のときに候補犬となることからスタートし、人間や他の犬になれるよう社会的な訓練や介助のための専門訓練を経て、優秀な介助犬となっていきます。
その間、訓練内容はボランティアの方の協力も仰ぎ、多くの方の力が結集し介助犬1頭を育てているのです。
ここでは介助犬になるための段階的な訓練の内容について、わかりやすく解説していきます。
介助犬になるための基本ステップ
介助犬の候補選抜から始まり、数々の実践的な訓練、そして使用者との出会いまでのステップを時系列に内容を解説していきます。
第一段階として、子犬は8~10週齢の頃、パピーテストとして介助犬の適正を見極め選抜されることになり、その基準は、愛想の良さや優しい性格、そして訓練のしやすさなどです。
第二段階は、選抜された介助犬候補の子犬は、パピーホームボランティアのもとで約1年間暮らし、その間に基本的な服従訓練を受け人間社会に慣れるという重要なタスクを成し遂げます。
第三段階になると、パピーホームボランティアのもとを離れ、介助犬養成の専門訓練センターに入所し、約1年半、障害をもつ方を手助けするのに必要な作業を全て訓練し身に付けるのです。
最終段階は、訓練が終了すると、使用者と犬のマッチングとなり、犬と使用者のコンビを慎重に選定します。
このように介助犬は生後間もない頃より、育成プログラムが開始され、約2年半の訓練を経て第一線で活躍できるのです。
我が家の愛犬も介助犬になれるの?
介助犬は、介助犬を育成管理している協会から貸与される犬と個人の所有犬があります。
個人の所有犬も介助犬として活躍するには、子犬のころから介助犬として活動するための訓練を受けることと、最終的に介助犬認定試験に合格することが必要です。
但し、愛犬の性格や能力によっては、介助犬として不向きな場合がありますので、介助犬の資質内容を理解しておきましょう。
ラブラドールレトリバーが介助犬に向いている理由
介助犬に適している犬種は、ラブラドールレトリバーやゴールデンレトリーバーとよく聞きますが、その理由をご存知でしょうか。
確かにラブラドールレトリバーなどは、優しくおとなしい性格の犬種のようですが、その性格だけで介助犬に最適な犬種なのか疑問です。
そこでもう少しラブラドールレトリバーを深堀し、介助犬に適している事実を解き明かしてみます。
ラブラドールレトリバーの性質が訓練に最適!
介助犬として必要な活動をおこなうため専門の訓練は欠かせません。
この訓練の内容は、座るや伏せ等の基本訓練から物を取ってくるやドアの開閉等の介助作業の訓練、そして電車に乗ったり商業施設で落ち着いて行動する訓練があります。
その訓練内容に最も適する犬種の性質は、人と一緒にいることが好きで警戒心や攻撃性が低い、そして活動量が大きいことですので、ラブラドールレトリバーの性質が最適です。
とくに活動量の大きさは、使用者が車椅子に乗る際や転倒しそうなときに体を用い支えたりしますので、大型犬にしかできない補助活動となります。
このようにラブラドールレトリバーの性質が介助犬の訓練に適しており、大型犬ならではの活動量が介助犬に向いていると理解できます。
介助犬の種類と犬種一覧まとめ
介助犬は、日常生活において人を手助けすることと精神面や肉体面の支えにもなっている優れた犬です。
介助犬を必要とする使用者は、介助犬のサポートによって外出の際の不安や負担が軽減され、活動の領域が拡大し健康面に良い効果が及んでいます。
このように介助犬の素晴らしい活動を知ることによって、愛犬とのドッグライフをより充実させたり、また愛犬を介助犬として訓練し社会貢献したいなど発展的な取組みを思い描いている飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてください。