犬の介護の仕方は、愛犬の状態にもよって変わり、その時々で介護の仕方をアレンジすることも少なくありません。
しかし、犬の介護の仕方の基本を知っておかなければ、介護を受ける愛犬の負担が大きくなるだけでなく、飼い主であるあなたにも負担が重くかかってきます。
犬の介護の仕方や認知症の対処方法を知るとともに、犬の食事やおすすめの介護用品についても調べましたので、参考にしてくださいね!
愛犬を介護するにあたっての心構え
犬の介護の仕方を理解する前に、もう一度あなた自身の心構えを確認してみましょう。
犬の介護は、相手がしゃべれないだけあって、とても大変です。
イライラしてしまうこともあったり、投げ出してしまいたくなることもあるでしょう。
しかし、愛犬の介護はそれまで以上の愛情を感じることができ、そこから得られるものはとても大きいものです。
それではここで、犬を介護するにあたっての心構えについて理解しておきましょう。
犬も戸惑っていることを忘れないで!
突然愛犬に介護が必要になることも少なくありません。
老化や病気、ケガなど原因は様々です。
突然自分で動くことができなくなったら、あなたはどう感じますか?
自分で動けないもどかしさや戸惑い、悲しみなど、様々な感情に襲われるでしょう。
犬も同じです。
人間は言葉で要求を伝えることができますが、犬は鳴いて訴えるしかありません。
そして犬は、あなたの感情を察知します。
常に自分が同じ立場だったらどうしてほしいか、を忘れずに、愛犬の気持ちになって介護を行うことが幸せな介護生活を送るためにも大切なことなのです。
犬の介護の仕方
犬の介護には、少し手を貸してあげればいいものから、犬の世話のすべてをケアしてあげる必要があるものまで多岐にわたります。
食事や排泄、お風呂事情、寝たきりになってしまった場合など、それぞれの犬の介護の仕方を見ていきましょう。
犬の介護の仕方①食事
犬の介護の仕方の初めは、食事についてです。
老犬になって食欲が落ちている、歯がなくて食べずらそう、といった場合であれば、シニア用のフードを与えるほか、フードをふやかしたり、レトルトのフードや缶詰に変えて食べやすい食事内容に変更してあげる必要があります。
食事を自分で食べられない犬の場合では、市販されているシリンジ(注射器のような形のもの)に流動食を入れて、口が下になるように頭を持ち、口の横からゆっくり流し込んであげましょう。
頭を横にしたままや勢いが強すぎると、胃から逆流して気管に入り込み、誤嚥性肺炎になることもあるため注意が必要です。
また、食事を飲み込むこともできない犬であれば、獣医師と相談して胃ろうの処置を行ってもらいましょう。
犬の介護の仕方②排泄
犬の介護の仕方の2つ目に見ていくのは、排泄についてです。
基本的に犬は、ギリギリの状態まで自分で歩いて排泄をしようと頑張ります。
脚力が落ちている場合では、トイレにたどり着く前に漏らしてしまったり、マットやカーペトの上で粗相してしまうこともありますが、決して怒ってはいけません。
犬が歩きやすいように、洗濯できるタイルマットなどを敷いてあげるほか、トイレのパターンを把握して、連れていってあげましょう。
また、後ろ足が麻痺してしまっている犬であっても、補助して立たせれば自力で排泄ができる犬も多いので、トイレの気配を感じたら立たせてあげるようにします。
全くの寝たきりの犬で、寝たまま排泄を行う場合では、排泄後すぐに体をキレイに拭いてあげまよう。
そして、自力で排泄を行うことができない場合には、腹部をマッサージしたり圧迫しておしっこを出す必要がありますが、初めて行う場合は獣医師にやり方を教わる必要があります。
寝たきりで動くことのできない犬の場合では、ドレーンでの排尿も考えなくてはいけません。
排便に関しては、自然に出てくるものなのでそこまで心配することはありませんが、便秘で苦しそうであれば、犬の肛門にベビーオイルやサラダ油で湿らせた綿棒を1cmほど差し込むと、腸が刺激されて便が出てきます。
犬の排泄の介護では、オムツを使用するのも便利ですが、犬によってはオムツ内で排泄をしない場合もあるので、愛犬の様子を見ながらオムツを使用するか決めましょう。
犬の介護の仕方③お風呂
犬の介護の仕方の3つ目では、お風呂についてです。
自力で立っていられる犬であれば、ドッグサロンでシャンプーをしてもらうことができます。
ただし、高齢犬や重大な病気の犬は体力が落ちているため、体の負担を考えてシャンプーやお風呂はなるべく控えるようにしましょう。
また、自力で立っていられない犬は、ドッグサロンでのシャンプーは断られてしまいます。
普段は水のいらないシャンプーでお手入れをしてあげ、お風呂に入れる時はすのこなどの上に寝かせて、頭のある方を少し高くして体が斜めになるようにしてからシャワーをかけてあげましょう。
介護中の犬をお風呂にいれる場合は、愛犬の体調がいい時で、手早く済ませることが大切です。
犬の介護の仕方④お散歩
犬の介護の仕方の4つ目は、お散歩についてです。
歩行介助用のハーネスを利用したり、犬用の車椅子や歩行機などを活用して、愛犬の体調を見ながらお散歩に行きましょう。
寝たきりの犬でも、ペットカートに寝かせて外の空気を感じさせてあげる必要があります。
お散歩は、介護中の犬であっても気分転換になり、とてもいい刺激を与えてくれます。
日によって体調の良し悪しは変わりますが、体調の良さそうな時はお散歩に連れて行ってあげましょう。
犬の介護の仕方⑤床ずれ対策
犬の介護の仕方の最後に見ていくのは、寝たきりの犬の床ずれ対策についてです。
同じ体制でずっと寝ていると、マットや床に当たっている部分が圧迫され、血流が悪くなってその部分の皮膚や筋肉が壊死してしまいます。
そのままにしておくと、痛いだけでなく腐ってウジがわいてしまうこともあります。
犬の体の下に体圧分散マット(床ずれ防止マット)を敷いてあげたり、2~3時間ごとに犬の体の向きを変えてあげる必要があります。
犬によっては体の向きを変えることができない場合もあるため、その時は体を持ち上げて一時的に血流を良くしてあげましょう。
床ずれは、マットや床に当たる骨や関節部分にできやすいため、こまめにチェックをして赤くなっていたり、水ぶくれができていたら、動物病院を受診してください。
犬の認知症の対処方法
犬の認知症の場合では、動き回っていることも多いため、初期であれば気付きにくいこともあります。
何かの病気なのか、認知症なのかの自己判断は難しいため、いつもと違った行動が見られるようになったら獣医師に相談しましょう。
ここでは、犬の認知症の対処方法について見ていきます。
夜鳴きや徘徊
犬の認知症で困るのは、夜鳴きや徘徊ではないでしょうか。
ご近所迷惑だけでなく、飼い主にとっても睡眠不足になる深刻な問題です。 夜鳴きや徘徊の対処方法として、昼と夜のバランスを犬に保たせることが必要です。
高齢になるとお昼寝の時間も多くなってきますが、なるべく起こして遊ばせる、日光浴をさせて体内時計を働かせる、といった方法があります。
獣医師に相談すれば精神安定剤や睡眠導入剤を処方してくれますが、薬の副作用で常にボーっとしてしまったり、認知症を悪化させることもあるので、薬を使用する前に対処方法を試してみましょう。
家具や壁にぶつかってしまう・後ろに下がれない
犬の認知症で避けたいのは、ケガなどをすることです。
認知症になると脳の機能が低下してしまい、家具や壁にぶつかってそのまま動けなくなる。といった行動が見られます。
対処方法として、犬が家具や壁にぶつかっても大丈夫なようにクッションシートを貼ったり、角でケガをしないようにガードしてあげましょう。
また、食事を与える時は壁際に食器を置いてしまうと犬が後ろに下がれず、そこで動かなくなってしまうので、部屋の真ん中など置き場所にも工夫が必要です。
認知症の進行を遅らせる・予防する
犬の認知症は、1度なってしまうと治ることはありません。
今までできていたことができなくなったり、ボーっとすることも多くなりますが、認知症は誰もがなり得る症状です。
認知症の進行を遅らせる、予防する方法として、日頃から意識してDHAとEPAの多く含まれる食事を与えたり、サプリメントやオイルなどで補ってあげましょう。
DHAとEPAは、様々な病気の予防にも効果がありますよ!
おすすめの介護用品
犬の介護用品はたくさんあります。
シリンジ、体温計、オムツ、防水シート、体圧分散マット、歩行補助ハーネス、カート、車椅子などなど、どんどん介護が便利になるものが発売されていますね。
そこでここでは、おすすめの介護用品をご紹介します。
ペットケアマット・体圧分散マット
体圧分散マットは、寝たきりの犬の床ずれ防止のためだけのものではありません。
犬が高齢になると、実は起き上がったり寝返りをうつのも大変なのです。
ちょっとしたことですが、愛犬の毎日を少しでも快適に過ごしてもらうためにおすすめの介護用品です。
流動食
犬の流動食は、何かと便利です。
介護中は、愛犬が食べてくれないことが一番の気がかりです。
食事を何も食べてくれなければ、栄養が足りなくなり、病気にもなりやすいです。
また、病気を患っているのであれば、体力を維持させるためにも栄養を摂ってもらいたいと必死なりますね。
普段ドッグフードを食事として与えられている犬が、食欲が落ちて食べない時に流動食をお皿に入れて飲ませることもできるので、おすすめの介護用品です。
犬の介護の仕方を難しく考えないで!|まとめ
今回は、犬の介護の仕方と認知症の対処方法、おすすめの介護用品についてまとめてみました。
犬の介護というと、食事や排泄などが大変、というイメージが先行してしまいますが、難しく考える必要はありません。
愛犬が何をしてほしいのかな、どうしたら喜んでもらえるかな、と考えれば、自ずとその犬その犬に合った介護の仕方が分かってきます。
愛犬と二人三脚で、素敵な介護生活を送ってくださいね!