犬の去勢手術を行なっていますか?
犬の去勢手術は病気の予防、問題行動防止、生ホルモン誘発性に関わる犬のストレス防止や不幸な命を作らないために日本では推奨されている手術です。
ただし手術を行う際は飼い主も手術内容や注意点、手術に失敗する可能性についても十分に理解しておく必要があります。
今回は抜糸を含む手術の流れや手術にかかる時間、失敗について幅広くご紹介致しますので、去勢手術をお考えの飼い主さんは是非参考にしてください。
犬の去勢手術の流れ
去勢手術は、全身麻酔を使用した外科手術によって生殖器である陰嚢内の精巣を取り除き、発情と生殖能力を制御するための手術です。
ここでは去勢手術に関して抜糸までの流れをご紹介致しますが、手術の手順や方式については動物病院によって異なりますので参考までにご確認ください。
去勢手術の前準備
まずは、去勢手術を受ける前に、適切に手術出来る体重か、年齢か、体力なのかなどを確認します。
また手術当日は絶食にしなければならなかったりと、手術前にやるべきこともたくさんあります。
STEP.1 手術前の検査を行う
去勢手術前には必ず問診、視診、触診、聴診、血液検査などを含めた身体検査を事前に行いますが、病院や犬の状況によっては術前検査として、レントゲン検査、心エコー検査、尿検査などを実施する場合もあります。
術前検査で問題がなければ去勢手術の予約をします。
STEP.2 手術当日は絶食絶水
去勢手術を行うにあたり各種書類に目を通して同意書にサインしなくてはいけません。
手術の内容、手術の危険性、かかる費用などしっかりと確認して同意できる内容であればサインをしましょう。
万が一手術中に何かあった場合の処置についても聞き、その他分からないことや納得できない点がある場合はしっかりと納得がいくまで獣医師に確認することが大切です。
STEP.4 犬を病院に預ける
病院に犬を預ける際は、排尿と排便を済ませてから預けましょう。
犬が排便、または排尿しない場合は獣医師にその旨を伝え、術前検査で健康状態の確認が出来ている場合であっても当日犬の健康状態で気になることがあればしっかりと説明してから犬を動物病院に預けます。
去勢手術開始~修了まで
ペットの去勢手術は病院によっては付き添いが可能ですが、病院によっては飼い主さんは一時帰宅する必要があります。
動物病院ごとに、手術時間が決まっている場合も多いため、一度預け手術が終わり次第再度訪れます。
手術を見学したい場合、対応している病院もあるので探してみるのもいいですが、それなりの覚悟が必要なことをお忘れなく。
STEP.5 手術開始の連絡
動物病院によって手術開始の連絡をしてくれる場合があります。
術前連絡希望の場合は事前にお願いしておきましょう。
STEP.6 全身麻酔をかけ手術開始
術前検査で犬の健康面で問題がなければ全身麻酔をかけ手術の準備をします。
全身麻酔は鎮静剤や鎮痛剤投与後に、注射麻酔や気管内チューブなどを使用したガス麻酔によって行われることが殆どです。
STEP.7 陰嚢部の精巣を取り除く
全身麻酔がしっかりと効いている状態で、陰嚢、または陰嚢近くの皮膚を切開して精巣を摘出します。
なお、手術中は全身麻酔の状態を細かく確認するため体温、呼吸数、心電図、血圧、血中酸素飽和度、呼気中炭酸ガス濃度などを細かく確認しながら手術を行います。
STEP.8 切除部位を縫い合わせる
睾丸を取り除く際に切除した皮下部位、また皮膚を吸収糸で縫い合わせます。
STEP.9 手術終了の連絡
動物病院によって手術終了の連絡をしてくれる場合があります。
手術完了連絡希望の場合は事前にお願いしておきましょう。
STEP.10 ICUで術後の犬の状態を確認
犬が麻酔から覚醒したら、動物病院では基本的にはICU(集中治療室)にて温度、酸素濃度、湿度などを管理しながら健康状態の確認を行います。
去勢手術修了から退院のタイミング
去勢手術は基本的には日帰り出来ますが、わんちゃんの体調次第や経過状態によってはそのままお泊りになるケースもあります。
あらかじめ、お泊りになる可能性があるのか、事前検査などで確認しておくようにし、当日も急な容態の変化に対応できるよう飼い主さんも準備しておきましょう。
STEP.11 健康に問題なければ退院する
犬の去勢手術は当日退院可能ですが、動物病院によっては犬の安静を考慮して1日入院させて翌日退院となる場合があります。
STEP.12 病院で抜糸を行う
傷の回復具合によって異なりますが、基本的に皮膚縫合した部分に異常がなければ去勢手術後7?10日を目安に抜糸を行い去勢手術が完了となります。
また、吸収糸(生体に吸収されて溶けるタイプの糸)を使用している場合は抜糸が不要です。
去勢手術の時間目安
精巣手術にかかる時間は、犬の状態や大きさ、獣医師や術法にもよって大きく異なりますが、基本的に全身麻酔を利用した外科手術全般で考えると去勢手術は比較的手術時間が短いのが特徴です。
手術そのものは短時間?
精巣を摘出する手術自体にかかる時間は10?30分程度が目安です。
実際の手術時間は短いものの、全身麻酔の時間を含めると1時間以上かかる場合もあります。
事前検査の段階や、預ける前に主治医に確認しておくと安心です。
停留精巣の場合は手術時間が長い
停留精巣とは、犬の精巣が通常通り陰嚢内に降りずに腹腔内に留まってしまっている状態です。
この場合は、睾丸がお腹の中にあるため開腹手術が必要となり手術時間が1時間以上かかる場合もあります。
去勢手術が失敗する可能性がある?
基本的には去勢手術に関しては、全身麻酔を使用する手術の中では簡易的な手術であると言われており、手術に失敗する可能性は非常に低いと考えられます。
しかしながら、割合として低いものの手術が失敗して死亡事故に繋がったという事例もあるので注意が必要です。
全身麻酔のリスク
去勢手術時の全身麻酔リスクについては十分に理解しておく必要があります。
手術が失敗しないよう、獣医師と看護師は複数名で手術中も最新の注意を払っていますが失敗事例があることも否定できません。
特に注意が必要なのは、全身麻酔によって心肺機能が侵されて呼吸の血圧低下や呼吸制御が起こる、またショック状態となって死亡する場合があるということです。
縫合の失敗
縫合の失敗で術後に縫合部位に腫れや出血、内出血など異常が出てしまう場合もあります。
基本的に犬の去勢手術後の痛みは3日程度で無くなると言われていますが、傷口に異常が見られたり痛みが続いたりしている場合は注意が必要です。
まとめ?去勢手術はしっかりと考えた上で行おう!
去勢手術にはメリットもたくさんあり、全身麻酔を使用する手術の中では簡易的な手術であると言われ多くの犬が手術を受けています。
しかしながら、去勢手術を行う際には飼い主も手術前の注意点や手術内容を理解し、手術が失敗する可能性が少なからずあることについても承知しておく必要があります。
手術を行う時は必ず獣医師の説明をしっかりと聞いて、分からないことがあれば理解できるまで聞き納得してから手術をお願いしましょう。