テリアと聞くとヨークシャーテリアを思い浮かべる方が多いかと思いますが、テリアの中には中型犬や大型犬も存在しており、被毛も短毛・長毛どちらも存在する種類の多いグループです。
テリアとはラテン語で「土を掘るもの」と言う意味があり、地面や大地と言う意味を持つ「テラ」が名前の由来と言われています。
今回はそんなテリアの代表種と魅力や性格、飼い方についても解説していきます。
テリアの代表種
実は、テリアと名の付く犬種は世界で44種類存在しており、その中でもジャパンケネルクラブ（JKC）で公認されているテリア犬種だけでも32種類存在します。
しかし、日本で見かけるテリアはそれほど種類が多いように感じませんよね。
先ほども解説した通り、体格や被毛の長さの違いが大きいテリアは見た目には、別の犬種に見えることがあるようです。
まず初めに、日本でも有名なテリアの代表種を3種類ご紹介していきます。
ヨークシャーテリア
日本でテリアと聞くと、最も有名で代表種と言われるのは小さな体に、美しい被毛が魅力的なヨークシャーテリアですよね。
原産国はイギリスで、体重は2～3㎏の超小型犬ですが、ヨークシャーテリアは中・大型犬のテリアやマルチーズなどの品種を掛け合わせて誕生した犬種のため、標準より大きめのヨークシャーテリアになる可能性もあります。
子犬の頃には、黒い被毛で全身が覆われていますが成犬になるにつれて、灰色やシルバー、金色などに被毛の色が変化します。
ジャックラッセルテリア
ジャックラッセルテリアは、ヨークシャーテリアとは対照的に被毛は短毛で筋肉質な体を持っています。
原産国はイングランドで、体重は4～6㎏とヨークシャーテリアよりは少し大きく小型犬に分類されます。
体長が体高より少し長く、筋肉質で細身の体には白ベースの被毛に大きな斑が入っているのが特徴的です。
元々、テリア犬種は狩猟犬のルーツを持つため断尾している犬種が多く、ジャックラッセルテリアも断尾されている子がほとんどです。
ブルテリア
日本で昔アニメの主人公になったこともあるブルテリアは、原産国がイギリスの中型犬です。
ブルドッグとテリア犬種を掛け合わせて誕生したブルテリアは、ブルドッグの闘争性とテリアの機敏性を持ち合わせているため、体重は20㎏前後と大きく、闘犬として有名な犬種でした。
闘犬として有名と言っても、攻撃性が強いと言うわけではなく挑まれれば反撃はするが、自分からは攻撃をしない「フェアプレーの精神」の持ち主として脚光を浴びていました。
闘犬であったルーツがあるため警戒心が強い傾向にありますが、活発で遊び好きなだけでなく飼い主さんに対しては忠誠心のある犬種です。
テリアの犬種全32種類！
日本でも特に有名なテリア犬種の代表種を3種ご紹介しましたが、JKC公認のテリアはこの他にもたくさんいます。
ここまでを読まれて「ボストンテリアは？」と思われた方もいるかもしれませんが、ボストンテリアは確かにテリア犬種ではありますが、厳密に言うとテリアグループではなく愛玩犬グループに属します。
これはボストンテリアの誕生に大きく関係しており、ブルドッグとブルテリア（ブルドッグ×テリア犬種数種）を掛け合わせて生まれた犬種のため、テリアグループではないようです。
次は代表種以外のテリア犬種をご紹介していきます。
日本テリア
体重5㎏前後で体高は30～33㎝前後の小型犬であり、日本国内にいた小型犬と掛け合わせて誕生したテリア犬種です。
実は、日本で誕生したと言われている日本テリアについては分からない事が多い犬種であり、どのように日本で広がっていった犬種なのかも詳しく解明されていません。
昭和初期頃に、日本テリアが爆発的に人気になったと言われていますが、その後起きた太平洋戦争によって日本テリアの数は減少してしまったことから、今でも希少な犬種です。
ウエストハイランドホワイトテリア
体重7～10㎏前後で体高は28㎝前後の小型犬で、ウエスティの愛称があるテリア犬種です。
今では白い被毛を持つ犬を見かけることも多くなりましたが、昔は白い被毛はミスカラーと呼ばれ健康上に問題を持つ犬が多いと言われ、交配を行わないようにする制度がありました。
そのため、ウエスティも一時は健康上に問題のある犬種と考えられていましたが、研究が進み健康上の問題がないと分かり現在では、イギリスやアメリカなどで人気トップ10に入る程の人気犬種になりました。
まだまだたくさんいるテリア犬種
ここまでご紹介したテリア犬種以外にも、30種類以上のテリア犬種がいます。
- ノーリッチテリア
- スコティッシュテリア
- シーリハムテリア
- ウェルシュテリア
- オーストラリアンシルキーテリア
- レークランドテリア等など
どうしてこれほどまでにテリア犬種が存在するのか気になりますよね？
テリア犬種は、元々狩猟犬として活躍していたルーツを持ちます。
犬の祖先はオオカミですが、人間と一緒に暮らす内に様々な性格や姿に変化していき、今のような犬種へとなっていったと考えられています。
狩猟犬と言ってもテリア犬種の多くは、牛などを追うわけではなく巣穴に隠れているネズミやモグラを駆除する足の短いテリア犬種と、狐などの狩猟を行う足の長いテリア犬種と言うように、その体の特性を生かして役割をこなしていたルーツがあります。
このように、人と暮らす中で性格や特性を考慮して改良を加えられた結果、狩猟犬として賢く、勇敢であるだけでなく、人に忠実な性格から家庭犬としても人気が出たため、テリア犬種が今でも多く存在すると考えられます。
テリア犬種の性格
テリア犬種には他の犬種にはない性格の名称があり、これをテリアキャラクターと言います。
テリアキャラクターとは、頑固・勇敢・機敏・忠実・大胆・活発の6つの特徴を持つことで、代表種のみならずテリア犬種全種類のルーツからこのような名称が付いています。
一般的に、犬は群れで生活することが多い動物ですが、テリア犬種は単独での狩猟が基本だったため、警戒心も強い傾向にあり来客時やインターフォンの音に反応し吠えると言った、問題行動に悩む飼い主さんが多い犬種です。
しかし忠実で賢い犬種でもあるため、一度リーダーだと認めた飼い主さんに対しては非常によく言う事を聞くだけでなく、物覚えも良く愛情深いためしつけもしやすい犬種です。
テリア犬種の飼い方
テリアキャラクターと言う、テリア犬種独自の魅力的な性格を持つテリア犬種ですが、もちろん性格は個体差があります。
しかし、どんな犬種であってもしつけは欠かせませんよね。
最後に、テリア犬種のしつけ方や飼い方について解説します。
しつけはしっかりと行う
先ほど解説したように、単独で狩猟を行っていたルーツがあると聞くと「自由気ままで、言うことをあまり聞かない」と言ったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、狩猟の際は人間の指示に従い仕事をこなしていました。
これは人間に忠実であり、人間の指示を的確に理解出来る賢さがあったからです。
現在は、狩猟犬としてではなく代表種のヨークシャーテリアのように家庭犬として親しまれているテリア犬ですが、可愛い見た目からつい甘やかしてしまう飼い主さんもいるため、しつけを行わないと、テリア犬種としての本能である無駄吠えや噛み癖に悩む方も多いのが現状です。
オテやオスワリと言った「芸」ではなく、まずはマテやツイテと言ったしつけをしっかりと教えることが大切です。
運動量の確保
日本で有名なテリア犬種の代表種がヨークシャーテリアと言うこともあり、あまり散歩などの運動をさせなくても良いと思われがちですが、狩猟犬として活躍していたテリア犬種は美しい被毛の下に、筋肉質な体を持っています。
その筋肉質な体と活発で運動好きな性格から、出来れば毎日1回は散歩に行くようにしましょう。
しっかりと散歩量を確保することで、健康な体を維持出来るだけでなくストレス発散にも繋がるため、吠え癖などの困った問題行動が減ります。
定期的なケア
美しく魅力的な被毛を持つテリア犬種は、トリミングが必要な犬種であるだけでなくブラッシングも欠かせない犬種です。
テリア犬種の中には、短毛・長毛どちらの犬種もいますが、長毛の場合は被毛同士が絡むだけでなくホコリが被毛に付きやすく、定期的なブラッシングとトリミングを怠ると皮膚病を起こす可能性があります。
短毛の場合、トリミングの必要はありませんが短毛種と言っても換毛期には、被毛が抜け皮膚が蒸れやすい状態になります。
またブラッシングは、健康状態のチェックが出来るだけでなく、お手入れを通して愛犬とのコミュニケーションを取る時間でもあります。
被毛の長い短いで判断するのではなく、愛犬とのコミュニケーションと健康状態チェックのため最低でも週に2～3回はブラッシングを行うようにしましょう。
まとめ
日本でテリア犬種の代表種と言えば小型犬のイメージが強いですが、海外では中型犬や大型犬のテリア犬種が今でも人気を博しています。
狩猟犬などの役割を持っていたルーツのある犬種は、本能が色濃く残っている子も多いためしっかりとしたしつけを行わないと、問題行動に悩み最悪の場合飼い主さんの手にも負えない状態になってしまうこともあります。
どんな犬種や性格であっても、犬は人間を一番に信用し愛情深く接してくれる動物です。
テリア犬種のルーツや性格をよく知り、楽しい愛犬との生活にこの記事が役立てば幸いです。
