老犬の散歩時間について悩んだことはありませんか?
老犬と言うと「散歩は短め」と考える飼い主さんが多くいますが、老犬だからと言って一概に散歩時間を短くすれば良いというわけでなく個々の老犬に合わせた運動量を把握して時間を決めなくてはいけません。
今回は、老犬の散歩について適切な時間や犬が帰りたがる原因、倒れる時に考えられる要因について注意点を踏まえご紹介致します。
老犬の散歩時間はどのくらい?
老犬になっても健康体で成犬時同様に運動量が必要な犬もいますし、何かしらの病気によって散歩を制限しなくてはいけない場合もあります。
散歩時間は個々の健康状態や個体差をしっかり配慮して決めましょう。
成犬の散歩時間とは?
老犬の散歩時間を決める基準として、成犬の散歩時間を知っておかなくてはいけません。
何かしらの疾患がなく健康体の老犬であれば散歩時間を年齢によって短縮する必要はありませんので、一般的な基準を知った上で愛犬の状況に合わせて考えましょう。
<一般的な成犬の散歩時間平均>
・小型犬(5〜10kg)・・・30分程度/ 1日
・中型犬(10~20kg)・・・30分程度x2回/ 1日
・大型犬(20~40kg)・・・30~60分程度x2回/ 1日
なお上記につきましては、室内で日中フリーの生活環境で過ごしている犬の場合を想定した一般的見解であり、犬種や飼育環境によって個体差があります。
健康状態を考えて時間を決める
老犬になっても成犬と同じように散歩が出来る犬もいますが、逆に何かしらの疾患により散歩時間の制限をしなくてはいけない場合もあります。
ここで大切なことは犬の個体差で判断することであり、病気の治療中である場合は獣医師に運動の可否や運動可能な度合いについて相談しましょう。
老犬だからこそしっかりと散歩時間を設けて、運動によって筋肉低下防止、刺激を受けることによって脳の老化防止をする必要があることもあります。
散歩中の様子で時間を決める
いくら健康に見える老犬であっても体にかかっている負担や疲れ具合の程度は細かく分かりません。
そんな時に確認したいのが散歩時の犬の様子です。
例えばいつも尻尾を上げて歩いているのに、尻尾がダランと下がっている時は犬が疲れを見せているサインです。
また犬の呼吸が過剰に荒くなっている時は散歩するのには気温や湿気が高すぎる、または運動量が多すぎて一時的に呼吸が荒くなっていることがあります。
最適な散歩の時間を決める場合は、犬の尻尾や呼吸を中心に犬の体の状態を考慮することが大切です。
尻尾の動きや呼吸のみならず、愛犬の表情から分かる疲れ具合は飼い主さんにしか気づけない事もあるので、しっかりと散歩中の様子を見て犬の体に疲れが見られている場合はそれ以上散歩をしないようにしましょう。
老犬が散歩に行っても帰りたがる理由とは?
老犬が散歩に行っても帰りたがる時は、散歩に飽きてしまったという単純な理由から重大な病気まで広い視野で原因について考えなくてはいけません。
多くの飼い主さんが、単純に老犬だから帰りたがるのだと放置してしまいがちですが、病気のサインである可能性もあるので一度動物病院で健康診断を受けることをお勧めします。
体の不調
老犬の多くは病気や免疫力の低下によって活力がない場合に散歩に行きたがらない、またはすぐに帰りたがることがあります。
病気の可能性がある場合は決して無理に散歩に連れて行かずに、事前に獣医師に相談して散歩の頻度や時間について考えましょう。
脚や関節の疾患が原因である場合
老犬は脚や関節に負担がかかりやすく運動不耐性症状を伴う病気のリスクも非常に高いので無理に散歩をさせずに安静にして動物病院で検査を行いましょう。
散歩に飽きている
単純に散歩コースに飽きている老犬もいます。
散歩コースが決まっている場合は、散歩に行きたがらない、またすぐに帰りたがることもあります。
そんな時は少し散歩コースを変えて犬の様子を見ることをお勧めします。
散歩コースをたまに変更することで喜んで歩くようになったという犬も多くいます。
知らない場所に行くという事は犬にとって良い刺激になり、老犬は特にいつもと違う匂いを嗅ぐことによって脳の活性化にも役立ちます。
暑くて歩きたくない
老犬問わずに言えることですが、夏場に暑さが理由で運動したがらなくなる犬が多くいます。
特に免疫力が下がっている老犬は気温の変化に弱いので、夏場は日中の散歩を避ける等工夫をしなくてはいけません。
人間は靴を履き、地面より離れた位置に顔があるため気づきにくいのですが、素足で散歩をする犬は体全体が地面に近い場所にあるので、人間が暑いと感じなくても犬にとってどうかを考えなくてはいけません。
散歩中に急に倒れるような症状に要注意!
健康体に見える犬であっても、飼い主が気づいていないだけで病気になっている可能性もあります。
散歩中にふらふらしてバランスがとれていないような場合や倒れるような症状が確認されたらすぐに動物病院で検査することをおすすめします。
また、老犬の散歩については可能であれば家族に頼んで複数人で行くことをお勧めします。
犬に付きそう人と家に引き戻り車を手配する人がいると、万が一犬が倒れるような自体になった時に心強いのではないでしょうか。
特に身体が弱っている老犬の場合、また免疫力が低下傾向にある場合は、何かしらのハプニングを想定して散歩に行かなくてはいけません。
心臓病で倒れることも?
老犬に特に多い病気として心臓病が挙げられますが、心臓に疾患があると犬の全身に血液を循環させる機能が正常に働かなくなります。
この場合、脳内の酵素が不足することによって失神して急に倒れることがあるので細心の注意を払いましょう。
また運動したことにより咳きこんでしまう犬もいるので、嫌がっている犬を無理に散歩に連れて行かずに病院で検査を行いましょう。
咳き込む場合は安静にすると咳が治まる傾向にありますが、運動する度に症状が再発します。
老犬に多い前庭疾患
前庭疾患とは、老犬に発症しやすい神経症状で、初期症状は首をかしげることが多いのですが意外に飼い主はこの仕草に気づきにくいので注意が必要です。
前庭神経という平均感覚を維持する神経が内耳部分にありますが、この神経に炎症が起こることによって平均感覚が正常に働かなくなってバランスを取る事が出来なくなります。
バランス感覚を保てないことから真っすぐ歩けなくなる、また病気が進行している場合は散歩中に急に倒れることもあります。
てんかん発作に注意しよう
散歩の最中で犬が倒れる場合、てんかん発作の可能性も考えなくてはいけません。
特に失神が起こった場合は発作が数時間で治まっても繰り返すことがあるので、一度倒れる症状が見られた場合は必ず獣医師に相談しましょう。
免疫力の低下に要注意!
人にも同じことが言えますが年齢を重ねた老犬は免疫力が低下傾向にあります。
そんな時に注意したいのが過剰な運動です。
体の能力以上に散歩させてしまうと、免疫力を低下させる原因となります。
同じ老犬でも免疫力については食事内容や病気の有無、足腰の筋肉量や関節炎等によって大きく異なりますので、先述でお話させていただいたように愛犬の状態を確認して免疫力が極度に下がるような長距離散歩は避けましょう。
特に皮膚炎や感染症等は免疫力低下と大きな関りがありますので、これらの病気予防のためにも愛犬の適度な運動量を把握しておくことが大切です。
足腰が弱った老犬は散歩不要?
足腰が弱った老犬であっても日々の散歩は必要です。
急に散歩を辞めると、関節、靭帯、また筋肉が硬直して症状が悪化、体重増加で老犬がかかりやすい糖尿病を発症、その他血行不良等運動不足によりさらに病気や老化を促進させてしまうことがあります。
何かしらの病気を抱えている場合は、獣医師に運動の可否について相談してから判断しなくてはいけません。
まとめ
老犬と言うと散歩時間は短め、フードはシニア食等と言った見解を示す飼い主さんが多くいますが、実は一概にそうとも言い切れません。
健康体の犬であれば老犬であっても適度な散歩は必要ですし、肝臓や腎臓疾患含め病気がなく運動量も変わっていない健康体の老犬に動物性たんぱく質量が低いシニア食を与える必要もありません。
食事であっても同様ですが、散歩時間を決める際は何より個々の健康状態と個体差を考慮してその老犬にとってどのくらいの運動量が必要であるのかを判断します。