人間よりもずっと身体が小さく自分で体調管理をすることが難しい犬にとっては、人間以上に寒さに敏感であるため、体調不良になるリスクも大きいのです。
寒さが直接的に体調に影響を与えることもありますが、寒さによって間接的に様々な病気の引き金となることもあります。 そのため、冬場が近づいて来たら愛犬の健康的な生活のためにも飼い主が率先して病気や体調不良に注意し、対策を講じましょう。「犬は寒さに強い」は本当?
冬が近づき気温が徐々に低くなると私達人間は風邪などの体調不良になるリスクも増えます。
一般的には猫と比べ犬は比較的寒さに強いと言われているようですが、チワワやトイプードルなど、最近人気の小型犬の中には寒さにそれ程強くないとされる犬種もいます。
またシニア犬も若いときに比べ寒さに弱くなるという傾向もあります。
飼い主として、寒さが犬の体調にどういった影響を与えるのか、知っておきましょう。
寒さや冷えがもたらす犬の病気とは?
寒い時期に掛かりやすい病気といったら風邪などの感染症が挙げられますが、その他にも意外に掛かりやすいいくつかの病気があります。
そこでまず、寒さや冷えがもたらす犬の病気について4つ見ていきましょう。
病気1:ケルネルコフ(犬風邪)
犬風邪、通称ケルネルコフとは、寒い時期に犬が最も掛かりやすい病気の一つで頑固な咳が特徴的な呼吸器系の病気です。
外気温が下がり湿度が低くなることでケルネルコフの原因となるウイルスや細菌などが犬の体内に侵入し、重度の咳が出るようになります。
ケルネルコフは犬から人間に感染することはありませんが犬同士で感染しやすい病気です。
そのため、不特定多数の犬が集まるドックランや犬カフェ、また散歩中には感染の危険があるため十分気を付ける必要があります。
今現在のところケルネルコフを完全に予防するためのワクチンはありませんが、いくつかのワクチンを摂取することによって感染のリスクを低めたり症状を軽くすることは可能です。
病気2:腹痛や下痢
腹痛や下痢は季節問わず一年中発症のリスクのある病気ですが、冬の寒さによる犬の免疫力の低下によって発症のリスクが高まります。
普段犬は食べ物を正常に消化し排泄するために腸内には無数の細菌や少数の寄生虫が存在しています。
また、善玉菌や悪玉菌のバランスを上手く取りながら腸内環境を正常に保っています。
しかし、身体が冷え体調不良を起こすと腸内の働きにも影響を与え、免疫力が低下することによって寄生虫や悪玉菌が増殖し、そのバランスを崩ずれることで腹痛や下痢になりやすくなるのです。
このように、寒さが間接的に犬の体調に影響を当てることもあるので外見的な変化だけではなく内面的な異常にも注意する必要があります。
病気3:心臓病や腎臓病
人間にも当てはまりますが、犬も寒さや冷えを感じると体内の血管が収縮し血圧が上がることによって心臓病のリスクがグッと増えます。
血管が収縮すると同時に血の巡りも急速に加速するため血を送り出す働きをしている心臓に大きな負担がかかるのです。
また、身体が冷えると腎臓への血流量が極端に低下するため、心臓病だけでなく腎臓病にも掛かりやすくなります。
いずれにしても寒さや冷えというのは犬の身体にとって良い状態ではないので、冷えを感じる前に対処してあげることが重要となります。
病気4:尿管結石や膀胱炎
尿管結石や膀胱炎は寒さや冷えが直接的に引き金になる病気ではありませんが、冬場に気をつけたい病気です。
犬は寒さを感じると一日に飲む水の量が減り、その結果体内の水分量が減ることによって尿の濃度が高まります。
高濃度の尿や老廃物が膀胱や尿管と言った排泄器官に長時間留まり、排泄の機会が減ると結石や結晶ができやすくなります。
それらが排泄時に膀胱内を刺激することで膀胱炎を発症しやすくなるのです。
そのため、例え犬が水分補給を嫌がったとしても膀胱内を浄化し定期的な排泄を促すためにも通常よりも少し多めの水分を補給させることは重要になります。
少量を何回かに分けて与える、また常温か少しぬるま湯の水を与えるといった工夫をすることがオススメです。
寒い時期に気をつけたい犬の病気予防法とは?
以上の4点が寒さや冷えによって犬に起こりやすくなる病気の例となります。
例えこれらの病気にかからなくても寒い時期には犬の運動量や食事量が減り、ぐったりしたり間接的な身体の異変を伴うこともあるため対策を練る必要があります。
そこで、寒い時期に特に注意して実践したい犬の病気予防法について一緒に見ていきましょう。
室温と湿度を一定に保つ
寒い時期の犬の病気予防の要になることは室温や湿度の管理です。
まず、普段屋外で犬を飼っている場合は寒い時期には室内で飼うことをオススメします。
室内で犬を飼う際の室温や湿度というのは犬の体調に大きな影響を与えます。
一般的に適温と言われている温度は23?25℃です。
暑すぎず、寒すぎず人間にとっても心地の良い温度を保ちましょう。
エアコンやストーブを使って温度調節をしても問題ありませんが、それらの暖房器具を使用すると湿度が落ちやすくなります。
湿度が低いと細菌が繁殖しやすくなり、犬の鼻や口の粘膜が乾燥することによって感染するリスクが高まります。
そのため、40?60%程度の湿度を保ちながら温度調節を行いましょう。
寒さに負けない身体づくり
病気や体調不良を起こさないためにはもちろん身体づくりも重要になってきます。
体温を上げやすくするために高タンパクな食事を中心に普段の食事量よりも少し多めの量を与えてあげましょう。
また、例え気温が寒く犬が外出を拒む時でも散歩や適度な運動というのは健康を保つために必要不可欠となります。
比較的日が差し込み気温の上がる日中などに散歩に連れ出し余裕があればドックランにも連れて行き、ある程度汗をかかせることで寒さに負けない身体づくりをすることができます。
ブラッシングなどの毛のケア
犬の毛には皮膚を衝撃から守るための役割だけでなく、毛の隙間に空気層を作り出すことによって体温を一定に保つ重要な働きがあります。
しかし、毛が絡んでいたり汚れがあったりするとその働きが十分に発揮できず身体を冷やしてしまう原因になります。
そのため、ブラッシングやシャンプーなどの日頃の毛のケアも結果的に寒さ対策に繋がるのです。
寒さによる犬の体調不良や病気まとめ
今回は寒い時期に犬が掛かりやすくなる主な病気や実践したい寒さ対策について紹介しました。
犬も人間と同じように寒さや冷えによって体調を崩しやすくなり、風邪や咳などの感染症から心臓病や膀胱炎といった病気の発症リスクがグッと高まります。
そのため、実際に犬が寒さを感じ始める前に室温・湿度調整や食事や運動などのケアを日頃から注意深く行い寒さに負けない身体を作ることが重要になります。
猫の健康のためにも以上で紹介したことを是非参考にし、実践してみましょう。