ペットショップに行くと、可愛い子犬や子猫がショーケースに入れられ、たくさん販売されています。
でも、もし売れ残ったら、その後どうなるか疑問に思ったことはありませんか?
ペットショップの入口付近に、ポツンと1頭だけケージに囲まれて、格安な金額で販売されている犬猫を見かけたこともあるでしょう。
ペットショップで売れ残る理由や、売れ残りの犬猫はどうなるか、譲渡会や里親事情についても知っておいてくださいね。
ペットショップで犬猫が売れ残る理由は?
ペットショップで格安な値段で販売されている犬猫を見て、何か問題があるのかな?と思っていませんか?
値段が安くても、何かあるのではないか、と犬猿してしまう人も少なくないのが実情です。
それが売れ残りの大きな原因でもありますが、そもそもペットショップで犬猫が売れ残る理由はどんなことがあるのか、見ていきましょう。
人気で売れ筋の犬猫をたくさん仕入れるから
ペットショップで売られている犬猫は、ブリーダーやせり市から仕入れられ、健康チェックやワクチン接種を経て、健康状態の良い犬猫だけが販売されています。
ペットショップは基本的に商売なので、その時期に売れ筋である人気の犬種や猫種を多く仕入れ、在庫としてたくさんの子犬や子猫を抱えています。
しかし、ペット大国の日本であっても日本の人口には限りがあり、ペットを飼う人は更に限られてきます。
それなのに、犬や猫をどんどん繁殖させているため、人とペットの割合のバランスが非常に悪いのです。
そうすると、必然的にペットショップで売れ残りの犬猫が出てきてしまうのです。
ちなみに、販売される前に健康状態などの問題で殺処分されてしまう子犬や子猫は。30頭に1頭の割合で存在しています。
犬猫の見た目で判断されるから
ペットショップでは、ショーケースに入れられて子犬や子猫が販売されています。
ショーケース内での行動や様子で判断されてしまうため、食糞であったり、大人しすぎたり、攻撃的であったりした場合、選ばれにくくなってしまいます。
ストレスなどが原因で、本来の性格や行動ではなくとも、その一瞬で判断されてしまうのです。
また、犬の場合でよくあるのが、鼻が黒くないと人気がなく、それだけの理由でずっと売れ残ってしまうことも多々あります。
生後3ヶ月を過ぎた犬猫は人気が落ちるから
ペットショップで人気なのは、生後2~3ヶ月の子犬や子猫です。
しかし、生後6ヶ月ほどになると、その子犬や子猫の個性や人見知りなど、ある程度の性格が形成されてしまうため、選ばれにくくなってしまう傾向があります。
生後6ヶ月でも、まだまだ子犬や子猫の可愛い時期ですが、日本のペットショップでは生後6ヶ月で売れ残りとして、価格を大幅に下げたり、その後の対策をとるようになります。
ペットショップで売れ残りの犬猫はどうなるの?
ペットショップで売れ残ってしまった子犬や子猫は、大手のペットショップであれば他店で価格を大幅に下げて販売することもありますが、それでも飼い主が決まらない場合もあります。
ペットショップで売れ残りの犬猫がどうなるか、しっかり理解しておきましょう。
ブリーダーに返還・売却される
ペットショップで売れ残り、飼い主が決まらなかった子犬や子猫は、ブリーダーや繁殖業者に返還、売却され、繁殖犬や繁殖猫となることがあります。
ブリーダーによっては、繁殖だけでなく里親を探してくれることもありますが、悪徳なブリーダーや繁殖業者では劣悪な環境で、ひたすら繁殖を繰り返させることも少なくありません。
鼻の黒くない犬は、繁殖犬としての価値がないとみなされ、殺処分されてしまいます。
また、ブリーダーや繁殖業者に返還されてしまった子犬や子猫の中には、エサ代がかかってもったいないという理由から、保健所に持ち込んで殺処分されてしまうこともあるのです。
人間の都合で生まれてきた、何の罪もない子犬や子猫がそんな理由で命を消されてしまうのは、とても悲しいことですが、それが現実だということを知っておいてください。
動物引き取り業者に引き取られる
ペットショップで売れ残った子犬や子猫を引き取る業者、「引き取り屋」が存在します。
ペットショップや繁殖業者から1頭につき1万円程度で引き取り、死ぬまで面倒を見るというものですが、きちんとお世話をしている業者は少ないのが現状です。
餌も満足に与えず、病気になっても動物病院を受診させることもなく、ケージに閉じ込められ、愛情や喜びを知らないまま一生を送る犬や猫がたくさんいます。
そういった悪徳引き取り業者が横行しているのが現状で、動物保護団体が保護に入ることもありますが、助けられる犬や猫はほんの一部でしかありません。
実験用動物として売却される
ペットショップで売れ残りの犬や猫を、実験用動物として売却されることもあります。
現在は世間の風潮や動物愛護の意識も強まり、動物実験を避けるようになりつつありますが、それでも製薬会社や化粧品会社の一部では、動物実験を行っています。
動物保護団体が必死に保護活動をしていますが、実験用動物となって命を落とした犬や猫は多いです。
保健所や動物愛護センターに持ち込まれる
以前は、ペットショップで売れ残りの犬や猫は、保健所や動物愛護センターで殺処分されることが多々ありました。
2013年に動物愛護法が改正され、悪質な動物取扱業者からの引き取りを拒否できるようになったため、ペットショップから健康体の犬や猫が持ち込まれることはなくなりました。
しかし、ペットショップということを隠し、個人を装って持ち込むようになってしまったため、判断が難しく受け入れてしまうこともあるようです。
現に、平成29年度の犬や猫の殺処分数は全国で43216頭ですが、そのうち23276頭は生後6ヶ月までの幼齢期の犬や猫という現状です。
運が良ければ看板犬として飼育される
かなり稀ではありますが、ペットショップの売れ残りの犬や猫を、お店の看板犬として飼育しているペットショップもあります。
また、運が良ければペットショップの店員やその友人などに譲られて、飼い主が決まることもありますが、売れ残りの犬や猫を譲るということは、ペットの販売価値が下がり商売にならなくなる、という観点から、譲るくらいなら処分する、という恐ろしい考えが横行しているようです。
ペットショップで売れ残りの犬猫の譲渡会や里親募集は?
最近では、ペットショップによっては保護犬や保護猫活動を行っており、譲渡会などの里親探しをするところも増えてきました。
それでは、ペットショップで売れ残りの犬や猫も譲渡会や里親募集はしているのでしょうか?
今回はペットショップの売れ残った犬や猫を対象に、譲渡会や里親募集について見ていきましょう。
ペットショップでの譲渡会や里親募集はない
残念ながら、ペットショップで売れ残りの犬や猫を、そのまま譲渡会や里親募集で飼い主を探すことはありません。
やはり、ペットショップが商品である犬や猫を譲渡するというのは、ペット全体の商品価値が下がるということを懸念することから、行われていないのです。
現在ではペットショップへの風当りが年々強くなり、良心的なペットショップも増えてきていますが、人気の犬猫の在庫を抱える形は変わっていません。
ペットショップが悪いわけではありませんが、ブリーダーや繁殖業者、飼い主である私たちの意識など、ペット業界全体のあり方を見直す必要がありますね。
ペットショップで売れ残った犬猫の前途は多難!
今回は、ペットショップで売れ残りの犬猫はどうなるか、というショッキングな内容をお伝えしました。
ペットショップで売られている犬や猫には、何の罪もありません。
売れ残ってしまった犬や猫たちで、幸せな運命を辿れるのはほんの一部です。
生後2~3ヶ月の子犬や子猫でなければダメ、という日本独自の固定概念をみんなが捨て、すべての犬や猫が安心して幸せに暮らせるようになってほしいですね。
もしこれから犬や猫を家族として迎え入れるなら、ペットショップで売れ残ってしまった犬や猫、動物保護団体の譲渡会やブリーダーの里親募集なども候補に入れてみてください。