「スコ座り」という座位を一度は聞いたことがあるかと思いますが、このスコ座りは、する猫としない猫がいます。
スコティッシュフォールドに良く見られるスコ座りは、なぜするのでしょう。
また、スコ座りをするのは病気のサインとも聞きますが、本当なのでしょうか。
病気が原因だとしたらどのような病気なのか、いつから発症するのかなど気になりますよね。
この記事では、猫がスコ座りをする理由や病気との関係性などをまとめました。
「スコ座り」とは
猫の「スコ座り」とは、猫が座った体勢で足を前方に投げ出すような格好です。
まるでお風呂上がりのおじさんがソファにどっかりと座ってくつろいでいるように見えることから、「おやじ座り」「おじさん座り」などとも呼ばれています。
「スコ座り」の由来は、スコティッシュフォールドに良く見られるからです。
しかし、実際はスコティッシュフォールドに限らずどの猫でもスコ座りをすることができます。
英語圏ではおしゃか様が座禅を組んでいるように見えることから、「ブッタポジション」と呼ばれています。
スコ座りをする理由
猫はなぜスコ座りをするのでしょう。
ここでは、猫がスコ座りをする理由を紹介します。
グルーミングをしやすいから
猫は自ら体を舐めてキレイにするグルーミングをします。
その際お腹やお尻周り、後ろ足は通常の姿勢では舌が届きにくい場所です。
そこで、スコ座りをすれば人間が背もたれに寄りかかっているような体制ですのでお腹やお尻周り、足を伸ばせば後ろ足までしっかりグルーミングできます。
この場合のスコ座りは、スコティッシュフォールド以外の猫種でも見ることができます。
姿勢が楽だから
スコ座りはお腹全体を上に向けています。
猫にとってお腹を見せることは弱点をさらすことになるため、通常の猫は嫌がります。
それを飼い主さんの前でするということは、それだけ猫がリラックス状態になるということです。
スコ座りは猫のリラックスの態勢とも言えます。
また、肥満気味などの猫にとって、スコ座りはお腹を圧迫しない楽な姿勢でもあります。
楽なのでスコ座りをしているという猫もいるでしょう。
関節に痛みがあるから
スコ座りをしょっちゅうしている猫は、関節にトラブルを抱えている可能性があります。
関節や骨に痛みがあるため、通常の座位をとれないということが考えられます。
この関節炎は、スコ座りの名前の由来にもなっているスコティッシュフォールドに良く見られる病気です。
どのような病気なのか、症状や治療法など詳しい内容は次項で紹介します。
スコティッシュフォールドは要注意「骨軟骨異形成」
スコティッシュフォールドに多いスコ座りですが、実は病気が関係している可能性があります。
その病気とは、スコティッシュフォールドに多い「骨軟骨異形成」という病気です。
骨軟骨異形成とは、一体どのような病気なのでしょうか。
ここでは、症状や対処法などを紹介します。
どんな病気?原因は
骨軟骨異形成は、簡単に言うと骨が正常に成長しない病気です。
原因は遺伝です。
そのため、いつから病気が発症するというわけではなく生まれつきです。
主に耳が折れている、足が短い、鼻が低い猫種に多く見られます。
軟骨の異常ですので、骨が発達する子猫時に何らかの症状が現れます。
成長の段階で軟骨に何らかの異常が生じ、「骨瘤」と呼ばれる関節部がこぶ状に貼れた状態になり、慢性的な関節炎の原因になります。
症状
骨軟骨異形成の症状は、以下の通りです。
・四肢の腫れ
・痛み
・関節がうまく曲がらない
関節炎を起こすため、四肢の腫れや痛みを生じます。
四肢のほかにも背中や尻尾、鼻に疼痛の症状が現れることもあります。
通常は身体の成長が止まると共に病気の進行も止まります。
しかし、なかには生涯にわたって症状が進行する猫もいます。
治療・予防法
骨軟骨異形成は遺伝性の疾患で、根本的な治療法は残念ながらありません。が、症状を緩和する方法は存在します。
いずれも動物病院での治療となります。
・外科的手術で「骨瘤」を取り除く
・放射線を骨瘤に当て、骨の成長を抑える
・鎮痛剤や消炎剤などの投薬治療で痛みを抑える
・骨粗しょう症用の投薬治療
外科的手術や放射性治療は痛みの軽減に高い効果を得られますが、全身麻酔を必要とするため、猫への負担も大きくなります。
鎮痛剤や消炎剤は、痛み止めとして用いますが、毎日与える薬ではないため、痛みがひどい場合に用いることが多いようです。
また、症状が重い場合にはあまり良い効果が得られないようです。
骨粗しょう症用の薬はまだ治療に用いることが少ないのですが、人間の骨軟骨異形成の治療薬としても使用されることがあるそうです。
また、自宅では段差を少なくすることや激しい運動を控えるなどして関節に負担がかからないように工夫することが大切です。
なぜ骨軟骨異形成でスコ座りをするの?
なぜ骨軟骨異形成の猫がスコ座りをするのでしょう。
それは、骨瘤によって関節をうまく曲げることができない、関節が変形している猫にとって、楽な姿勢だからだと考えられています。
可愛らしいスコ座りですが、病気が原因でこの体制をとっている可能性があります。
飼い主さんは様子をよく観察し、病気の有無を観察しましょう。
まとめ
猫がスコ座りをする理由は、お腹やお尻周りなどの普段届かない場所のグルーミングのためや、楽な姿勢だから、関節炎のため足を曲げられないことなどが挙げられます。
病気では、骨軟骨異形成という関節炎が多く見られます。
これはスコティッシュフォールドなどの猫種に多く見られ、遺伝性の疾患です。
成長の過程で骨に何らかの異常が生じ、関節に痛みやうまく曲げられないなどの症状が見られます。
骨軟骨異形成は遺伝性の疾患ですので、生まれつきのものなので、根治的な治療法はありません。
スコティッシュフォールドなどの猫種を飼う場合には、このような病気があることを理解し、万が一発症した場合には一生の付き合いになることを心得たうえでお迎えするようにしてください。