最近では、様々な電子タバコが販売されており、猫のためにも紙巻きタバコではなく電子タバコを吸っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、電子タバコには猫に毒性のあるプレピレングリコールが含まれています。
プレピレングリコールによってどんな症状や治療が必要となるかを知ったら、電子タバコを吸うことはできません。
そこで今回は、電子タバコのプレピレングリコールについて解説しますので、参考にしてください。
電子タバコのプレピレングリコールとは?
プレピレングリコールは、電子タバコだけでなく食品や医療品、化粧品などにも使用されており、人間にとっては低用量であれば毒性が低いと認められている添加物です。
無味無臭で、保湿性や防カビ性が優れていることから、食品添加物としてもよく使われています。
病院で受ける注射や処方される内服液にも含まれており、そう聞けば安全なのではないかと思ってしまいますが、人間にとって安全でも猫にとっては毒性があります。
ここでは、プレピレングリコールについて詳しく見ていきましょう。
猫にとってプレピレングリコールは毒性が認められた
食品添加物では増粘安定剤として、食感を良くするために使用されるプレピレングリコールは、一昔前であればキャットフードにも添加物として使用されていました。
しかし、猫の体への毒性が確認され、2009年にペットフード安全法でプレピレングリコールが含まれたキャットフードの製造や販売は禁止となり、今ではキャットフードに使用されることはありません。
犬に対しての影響はないとされているため、半生タイプのドッグフードには含まれていることもあるので、猫と犬の多頭飼いをされている方は、猫がドッグフードを食べないように注意する必要があります。
プレピレングリコールが猫に与える影響
プレピレングリコールには発がん性はありませんが、猫がプレピレングリコールを摂取すると、血液中にあるヘモグロビンが酸化変性を起こし、赤血球内や赤血球膜に付着してハインツ小体を形成します。
ハインツ小体によって赤血球が破壊されていき、溶血性貧血や合併症の胆石など様々な影響があらわれます。
また、プレピレングリコールによって血中の乳酸レベルが増加するため、乳酸アシドーシスの症状が表れることも確認されています。
猫が少量のプレピレングリコールを摂取しても、すぐ死に直結するような影響があるわけではありませんが、病気の誘発や寿命を縮める一因となるため注意が必要です。
猫がプレピレングリコールを摂取した時の症状は?
人間や犬は、肝臓でプレピレングリコールを分解し、糖新生を行ってブドウ糖に変えることができるため、低用量であれば問題がないと厚生労働省から指定添加物として認定されていますが、猫は肝臓でプレピレングリコールを分解できません。
ここでは、猫がプレピレングリコールを摂取してしまった時に表れる症状を見ていきます。
プレピレングリコールを摂取した時の症状
猫がプレピレングリコールを摂取すると、運動を嫌がる、元気喪失、食欲低下、嘔吐、下痢、多尿、貧血などの症状があらわれます。
プレピレングリコールが含まれている量の違いや、猫の個体差もあるため、どれくらいの量を摂取したら症状が表れる、というものはありませんが、玉ねぎを食べてはいけないと同じくらい注意が必要な成分になります。
プロピレングリコールを摂取した時の治療
猫がプレピレングリコールで中毒症状である溶解性貧血になってしまった場合は、軽度であれば数週間の投薬で様子をみます。
それで落ち着くこともありますが、1ヶ月経っても薬で改善されない場合は、輸血や脾臓の摘出手術が必要になります。
最初から重篤であると獣医師に判断された場合では、すぐに輸血や脾臓摘出となるため、猫の体の負担を考えれば、プレピレングリコールは摂取させたくないですね。
電子タバコ全般で注意!
電子タバコのプレピレングリコールは猫に毒性があると言われても、猫がタバコを吸うわけではないし、紙巻きタバコのように副流煙による受動喫煙の心配はないのになぜ?と疑問を持つ方もいるでしょう。
その答えは、電子タバコに使用する香料を含んだリキッドの原料にプレピレングリコールが含まれており、電気で加熱して蒸気を発生させるため、そのミストが猫の被毛についたり、空気中のミストを吸い込んでしまうからです。
猫が毛づくろいで被毛を舐めることによって、プレピレングリコールが体内に入ってしまうため、電子タバコは猫に悪影響があるのです。
ここでは、電子タバコの注意点について見ていきましょう。
プレピレングリコールゼロと書かれていても含まれている
今や電子タバコや加熱式タバコは、もの凄い種類が販売されています。
有名なベイプやシーテックデュオ、プルームテック、ビタフル、アイコス、グローなど、あげたらきりがありませんが、注意してほしいのはどの電子タバコでもプレピレングリコールとは切っても切れない関係であるということです。
電子タバコでは、PGフリーやVG-MAXといったリキッドも販売されており、プレピレングリコールゼロをうたっていますが、少しだけ含まれていたり香料の原料がプレピレングリコールだったりと、まったくゼロということはありません。
また、加熱式タバコでもプレピレングリコールは関係のないような気がしてしまいますが、プレピレングリコールを高濃度で発生させるため、電子タバコ全般に猫に毒性のあるプレピレングリコールが含まれているのです。
電子タバコや加熱式タバコのニコチンも注意
日本で販売されている電子タバコのリキッドには、ニコチン入りは禁止されているため販売されていませんが、海外から個人輸入されているリキッドにはニコチン入りもあります。
また、加熱式タバコでもニコチンカプセルやタバコの葉を加熱してニコチンを含んだ蒸気を発生させており、このニコチンの量は紙巻きタバコと同等かやや少ない程度なため、ニコチンを猫に摂取させてしまう恐れもあるのです。
加熱式タバコでは安全や健康といった安全神話が先走りしていますが、実は紙巻きタバコと同様に多くの有害物質や発がん性物質が蒸気から検出されているため、ミストとなって猫の体につくことを考えたら恐ろしいですね。
特にニコチンは皮膚からも吸収されてしまい、ニコチンの液体は健康な成人でも数mlの摂取で致死量となるため、体の小さな猫であればほんの一滴でも致死量となり得ます。
紙巻きタバコではないから大丈夫、ということはなく、電子タバコや加熱式タバコでも安全ではないということです。
猫にとって電子タバコのプレピレングリコールは危険!|まとめ
今回は、電子タバコのプレピレングリコールは猫に毒性があり、様々な悪影響をもたらすことについてご紹介しました。
タバコを禁煙するのが一番いいのですが、なかなか難しい問題です。今は猫用のCBDオイルなどもありますが、動物用のCBDについてはまた違うコラムで書かせて頂きます。
電子タバコを吸うのであれば家の外にして、リキッドは猫が舐めないようにしっかり管理することが必要です。
また、電子タバコに限らず、猫がプレピレングリコールを摂取しないように、普段から気にかけるようにしましょう。
もし何らかの症状があらわれた場合には、すぐに動物病院を受診することも忘れないでくださいね!