近年、猫の飼育環境や医療がどんどん良くなっていることで、猫も高齢化が進んでいます。
長生きしてくれることは飼い主さんとしてはとても嬉しいことですが、その反面で増えているのが「認知症」です。
猫にも認知症は存在し、あらゆる問題行動の原因に繋がります。
猫の認知症は、何が原因で起こるのか、症状や対策法も知りたいですよね。
この記事では、猫の認知症の原因や症状、対策法などをまとめました。
猫の認知症とは
猫の認知症は、加齢とともに脳細胞が減少し、かつではできていた行動ができなくなってしまう状態のことです。
基本的に、人間の認知症と変わりはなく、特効薬など明確な治療法はありません。
猫が認知症になるとどのような症状が現れるのか、何歳から注意が必要なのかを詳しく解説します。
10歳を超えたら認知症に注意!
猫の認知症は、早ければ7歳ころから症状が現れますが、多いのは10歳以上のシニア猫です。
猫もどんどん高齢化が進んでいるため、認知症になるシニア猫は増えている傾向にあります。
認知症は早期発見・治療が進行を遅らせるカギになりますので、シニア猫で最近いつもと違う行動をすると思った場合には、認知症を疑いましょう。
認知症の主な症状
猫の認知症は、どのような症状が現れるのでしょう。
認知症の典型的な症状を、英語の頭文字をとって『DISHA』と呼ぶことがあります。
ここでは、猫の認知症に多く見られる症状を紹介します。
『D』Disorientation(見当識障害)
検討障害では、いつも生活していた家の中が分からなくなる、ドアなどにぶつかるようになるなどの行動が見られます。
また、中には飼い主さんのことを認識できなくなってしまう場合もあります。
『I』Interaction(接し方の変化)
今まで大人しかった猫が、攻撃的になった、何事に関しても関心を示さないようになった。
このように猫の認知症の症状として、意欲がなくなる、攻撃的になることがあります。
『S』Sleep-wake cycle(睡眠覚醒周期)
夜中中起きている、日中ずっと眠っている、夜中にずっと家の中をうろうろしている。
このような不眠、仮眠、徘徊は人間の認知症でも良く見られる症状で、猫にも見られます。
猫は通常でも平均20時間寝ていると言われていますが、認知症になると昼夜逆転や夜中に鳴き続けるなど普段とは違った様子が見られるようになります。
『H』House soiling(トイレの粗相)
普段トイレで排泄できていた猫が、粗相をするようになった。
トイレの場所がわからない、尿意や便意がわからなくなるという状態は、認知症に良く見られます。
認知症の場合は、何度も粗相をすることが特徴です。
高齢の場合は、トイレが間に合わなくなり粗相に繋がる場合もあるため、間違いないようにしましょう。
『A』Activity(活動の変化)
- 異常に鳴き続ける
- 食欲低下・増加
- 探索行動の低下
- 身体を舐め続ける
- 場所や音に対して不安を抱くようになる
このような行動の異常も、認知症では良く見られます。
無気力や何に対しても興味を示さない、異常に食べたり何度もエサをねだる、または食欲の低下、日中・夜中問わず鳴き続けるなどの行動の異常が現れます。
認知症の対策法は?
高齢の猫に認知症の症状が見られた場合、飼い主さんはどのような対策法を取るべきなのでしょう。
ここでは、猫の認知症の対策法を紹介します。
動物病院での治療
認知症では、症状に合わせた治療が必要です。
薬などで根本的に治すことはできないため、症状を緩和し、認知症の進行を遅らせることが治療になります。
動物病院では、症状に合わせて睡眠薬や安安定剤などを使用することもあります。
また、カウンセリングをして家での過ごし方の指示を仰ぐことができるので、認知症だと思ったら、まずは動物病院を受診してみると良いでしょう。
栄養バランスの良い食事
認知症の進行を遅らせるには、食事内容も重要です。
高タンパク低脂質で、バランスの摂れた良質なフードを与えることや、老化を食い止める抗酸化作用、認知症に効果があると言われるオメガ3脂肪酸などを摂取することです。
認知症予防のためにも、普段から良質な食事を与えることが大切です。
体内時計を正常に保つ
不眠や仮眠が酷い場合には、体内リズムが狂っている可能性があります。
体内リズムが狂うと、昼夜逆転してしまいます。
狂った体内時計を正常にするためには、毎朝朝日を浴びせることです。
朝日を浴びることで、脳は朝だと認識しホルモンを分泌します。
このホルモンは、夜になると眠くなるサイクルを作るため朝起きて夜寝るという体内リズムを作ることができます。
朝、猫が眠っていても起こして日光が当たる場所に連れていき、朝日を浴びさせましょう。
認知症対策にはサプリもおすすめ
猫の認知症は、はっきりとした治療法はありません。
生活習慣や食事療法などで進行を遅らせることが重要になります。
食事療法では、認知症に良いとされる成分を効率よく摂取させることが大切で、サプリメントを使用すると手軽に栄養を摂ることができます。
認知症に効果があるとされる成分は、以下の通りです。
- αリノレン酸
- DHA
- EPA
αリノレン酸とはオメガ3脂肪酸のことです。
αリノレン酸は、体内でDHAやEPAに変化して、老化により衰えた脳細胞を活発にする働きがあります。
そのため、脳の栄養素とも呼ばれています。
DHAはドコサヘキサエン酸と呼ばれてるオメガ3脂肪酸です。
DHAは悪玉コレステロールを減らし、脳梗塞を予防する働きと、加齢により衰えた脳細胞を元気にする働きがあります。
DHAを摂取することで、脳細胞の老化を遅らせる効果が期待できます。
EPAはエイコサペンタエン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸です。
EPAは血液が固まるのを防ぎ、流れをスムーズにする働きがあります。
そのため、認知症の原因になる脳卒中の予防に効果的です。
ほかにも、抗酸化作用のある成分(ビタミンC、ビタミンEなど)も認知症に効果があると言われています。
まとめ
高齢猫の問題行動は「認知症」の可能性があります。
10歳以上の猫に多く見られ、早ければ7歳頃から発症するケースも報告されています。
認知症は根本的に治すことができないため、早期に発見し進行を遅らせる処置をすることが有力です。
高齢の猫が夜鳴きが酷い、粗相をする、性格が変わったなどの症状が見られるようになった場合には、認知症を疑いましょう。
認知症か判別が難しい場合には、一度動物病院を受診して診断を仰ぐと安心です。