日本ではついに犬や猫の飼育頭数が15歳未満の人口を上回るという現象が起きています。
要するに今の日本は子どもよりもペットの数の方が多いということになりますね。
そんなペット大国日本ですが、悲しいことに未だに1年間で数万頭の犬や猫が殺処分されています。
大切な大切な家族であるペットを、身勝手な都合で捨ててしまう人がいるのはなぜなのでしょうか?
そもそもペットを捨てるという行為は犯罪にあたるのでしょうか?
今回は、そんな当たり前のようでいて未だに後を絶たない「ペットを捨てる」ということについて改めて考えていきたいと思います。
殺処分ゼロの社会を創るために、動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)についても学んでいきましょう。
捨てられた犬・猫の行き場とは
捨てられた犬や猫は、一体どこに行くのでしょうか。
まずは現状について知っておきましょう。
保健所や動物愛護センターによる保護・引き取り
捨てられた犬猫や行き場のない犬猫は、主に保健所や動物愛護センターによって保護されます。
雑種として外の世界で生まれた犬や猫もいますが、中には捨てられてしまった子や、飼い主さんの家から脱走してしまい行方不明になってしまった子もいます。
行方不明になってしまった場合は、探している飼い主さんの元に帰ってくることが出来るかもしれませんが、飼い主が自らの意思で捨てたり直接持ち込んできた場合はそうはいきません。
そのまま保健所やセンターで収容されることになり、一定期間引き取り手が見つからない場合は、殺処分・致死処分となってしまいます。
とても悲しいことではありますが、全ての犬や猫を行政が飼育し続けることは、物理的には不可能です。
殺処分ゼロの社会を目指すためには行政やボランティアの力が欠かせないというのが現状ですが、やはり最も重要であり改善すべき点は、捨てられるペットを1匹でも減らしていくことでしょう。
やはり飼い主の意識をもっと高めていくしかありませんね。
ペットを捨てる理由・事例について考察
そもそもなぜペットを捨てる人がいるのでしょうか。
ほとんどの飼い主さんはペットを家族のように思い、心から大切にしていることでしょう。
その覚悟を持った人間しか、ペットの命をあずかる資格はないはずなんです。
にも関わらず、家族であるペットを自らの身勝手な都合で捨てたり、避妊・去勢手術を受けさせず生まれた子犬や子猫を自治体に持ち込んだりといった出来事が起きています。
どうしてそういった出来事が起こるのか、現実を知っておくためにもいくつかの理由や事例を考察していきましょう。
なぜ犬や猫を捨てるの?
・引越しや転職、転勤などにより、自分の環境や状況が変わったから
・想像していたよりも飼育や世話が大変だったから
・成長した姿が想像とは違ったから
・経済的に苦しくなったから
・犬アレルギー猫アレルギーが発覚したから
あくまで一部ではありますが、人がペットを捨てるには主にこういった理由や事例があるようです。
簡単に申しますと、環境の変化・想定の甘さ・経済的理由に分けられそうですね。
しかし、どの理由も決して理解出来るものではありません。
生きている限り、環境の変化は誰にだって起こりえます。
犬や猫の平均寿命は10数年と言われていますが、10数年もの間全く環境が変わらないという可能性の方が低いのではないでしょうか。
また、「思ってたよりも大変だった」「成長した姿が想像と違った」という、あまりに残念で悲しい理由もあるようです。
アレルギーに関しましては、病院で皮膚検査または血液検査を受けることで、簡単に調べられます。
不安なことは全てクリアーにして万全を期してからペットを迎え入れること
万が一不測の事態が起こったとしても絶対に責任を放棄しないこと
ペットを飼う前にその覚悟をしっかり持っていれば、自分の都合で大切な命を捨てる人は確実にいなくなるはずですよね。
ほとんどの飼い主さんは大丈夫だと思いますが、もし万が一友人や知り合いなどの中に気軽にペットを飼おうとしている人がいると気づいた際は、助言や注意をしてあげましょう。
その一言が、かけがえのない命を救うことに繋がるかもしれません。
ペットを捨てることは犯罪か
さて、ここからは「ペットを捨てる」ということについて、法律の観点から見ていきたいと思います。
みなさんは、ペットを捨てることは犯罪だと思いますか?
動物愛護法についても学びながら考えていきましょう。
動物愛護法(動物の保護及び管理に関する法律)とは
動物愛護法とは、1973年に制定された法律です。
「動物の保護及び管理に関する法律」が原型となっています。
基本原則は以下の様に定められています。
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
要するに、動物の命を尊重し、人と動物が共生出来る社会をみんなで目指していきましょうということですね。
具体的には以下のような内容が挙げられます。
愛護動物の殺傷⇒2年以下の懲役または200万円以下の罰金
愛護動物を虐待したり衰弱させた場合⇒100万円以下の罰金
愛護動物の遺棄⇒100万円以下の罰金
今回述べてきました「ペットを捨てること」ということについては「愛護動物の遺棄」にあたりますので、100万円以下の罰金が科せられるということになりますね。
よってペットを捨てることは犯罪とみなされます。
犬猫の保健所への持ち込み|法的な問題は?
ペットの遺棄は犯罪であるということがわかりましたが、ペットを保健所や動物愛護センターに持ち込むことに法的な問題はあるのでしょうか?
これに関してですが。ペットの引き取りについて自治体による定めは様々ですが、持ち込んだことで罰金や罰則を科されるといったことはないようです。
よって、法的にとわれないがために、「遺棄」にあたらない「保健所への持ち込み」を軽く捉えてしまうという現実もあります。
それが2013年の動物愛護法の改正・施行への流れに繋がりました。詳しくご説明してまいります。
動物愛護法の改正
動物愛護法は1973年の制定時より幾度となく改定を繰り返してきましたが、2013年に新しく施行された動物愛護法では、「終生飼養」について明記されたというのが大きな特徴です。
終生飼養とは、一度飼ったペットは飼い主が最後まで責任をもって飼育しなければならないということです。
「殺処分ゼロの社会を目指す」という声が年々高まってきた流れを受けてのことでしょう。
これを契機に、自治体は持ち込まれたペットの引き取りを拒否できるという措置が設けられるようになりました。
あくまで各自治体の判断に委ねられてしまいますが、安易にペットを捨てたり持ち込んだりする飼い主を説得しようという明確な狙いにより、殺処分の数を大幅に減らしている自治体もあります。
引き取りを拒否された飼い主がきちんとペットを持ち帰れば良いのですが、持ち帰らずそのまま遺棄したり、飼育放棄したりといったリスクも考えられますので、まだまだ課題は多いという見解もあるようです。
しかし、犬や猫の殺処分の数は年々減少傾向にありますので、1つの大きなターニングポイントとなったということは言えるかもしれません。
ペットを捨てることは犯罪?|まとめ
さて、今回は「ペットを捨てるのは犯罪か」という問題について、ご説明してまいりました。
ペットの遺棄は犯罪であり罰金刑が科されるということがわかりましたが、保健所や愛護センターへの持ち込む飼い主はまだ後を絶たないというのも現実です。
動物愛護法についても学んできましたが、法律や罰金に関係なく、全ての人が「動物の命を尊重し、人と動物の共生を目指そう」という意識をもてる社会になってほしいですね。
わたしも、「ペットを飼う」ということの重みや責任について、改めて考えていきたいと思いました。
最後までご覧頂き、本当にありがとうございました。