狂犬病と言えば、犬がなる病気というイメージが強いですが、実は猫も感染する可能性のある危険な病気です。
日本国内では発症していないので、気にする必要はないかもしれませんが、海外のブリーダーさんから譲り受けた猫や、海外渡航の予定がある場合にはワクチンや予防接種の必要があるかもしれません。
今回は猫にも感染する恐れのある狂犬病について症状や治療法などをまとめてみました。
狂犬病とは?
猫の狂犬病は犬だけの病で、猫には関係ないと思っていませんか?
実は、狂犬病は、犬の飼い主だけ注意すべきことではなく、人や猫を含む、すべての哺乳類に感染する危険性を持っています。
日本では狂犬病は発生しておりませんので、日本国内では安全と言えます。
しかし、海外に猫を連れていく場合には、万が一のためにワクチン・予防接種をしておくことが大切です。
猫が狂犬病になったらどうなるのか、今回は猫の狂犬病の症状や治療法・予防法などをまとめました。
狂犬病の原因は?
主な病原体は狂犬病ウイルスです。
狂犬病ウイルスを保有する犬や猫、およびコウモリを含む野生の動物に咬まれたり、ひっかき傷から、ウイルスが侵入することで感染します。
狂犬病の感染が発見された動物の例
アメリカでは、アライグマ、スカンク、コウモリ、猫が、ヨーロッパでは、キツネ、猫が狂犬病の感染が確認されています。
アフリカではジャッカルという動物も感染しています。
このように、海外では猫も感染しているということがわかります。
猫の狂犬病の期間
潜伏期は14~21日といわれ、最長は51日とされています。
猫間でウイルスを保持することはありませんが、何の前触れもなく唐突に飛びかかってきて、引っかいたり咬みついたりするので、大変危険です。
犬も猫も発症3~4日前にはウイルスを排泄し始めるといわれていますので、注意が必要です。
猫の狂犬病の症状
猫が狂犬病を発症した場合、下記のような症状が起こります。
- 顔つきや性格に変化がみられる
- 瞳孔が開く
- 神経が過敏になる
- 全身に麻痺がおこる
- 痙攣が始まる
- 呼吸が苦しくなる
- 発熱する
猫の狂犬病のタイプ
猫の狂犬病には、狂騒型(きょうそうがた)と沈鬱型(ちんうつがた)の2つのタイプがあります。
狂騒型は噛みつき騒がしく、沈鬱型はしょんぼりとして元気がなくなってしまうのが特徴です。
ほとんどのケースは狂騒型で、その中でも前駆症状期、狂躁期、麻痺期の3つのタイプに分かれます。
前駆症状期
物陰に隠れ、まるで鬱のような状態になる他、異常に人にまとわりついて離れないといったような愛情表現をするようになります。
発症から死亡までは約一週間程度といわれ、イヌより短期間で死亡するようですが、平均すると4日間ほど生存するので、イヌより経過が長い傾向とも考えられます。
狂躁期
攻撃性が強くなり、意味もなく吠えまくります。
突然攻撃的になったり、かと思えば急に孤独を好んだりし、破壊行動をよく起こすようになります。
猫の場合、口から大量のよだれをだらだらと流します。
非常に攻撃的となり、いろいろなところを噛みつき、人や他の動物を襲うようになります。
絶え間ない体動が見られ、意味もなく吠えまくり続け、不眠となります。
発熱のため、鼻鏡、口唇、舌、掌球などの紅潮が認められます。
また、イヌと違って口から大量のよだれをだらだらと流し、瞳孔は散大します。
この頃より軽度の後躯麻痺が見られることもあります。
「攻撃」「紅潮」「流涎」「瞳孔散大」は猫の4大徴候です。
麻痺期
筋肉の痙攣が起こり、異常な歩行をし、距離感がつかめなくなります。
嚥下麻痺から物を飲み込めなくなってしまいます。
発症してしまったら、一週間~10日以内に100%死亡します。
狂犬病にかかった動物は、水を見ると怖がって逃げることがあります。
狂犬病を恐水症と呼ぶ事がありますが、ひどい場合は水を見ただけで痙攣してしまうからです。
嚥下麻痺で水を飲み込めなくなり、水を飲む度に気管に水が入るために窒息しそうになりかなり辛く苦しい思いをします。
それが何度も繰り返すために、最終的には水を見ただけで怖がるようになる、という理由からついた名前です。
嚥下障害がすすみ、よだれがますます増加し、やがて意識が低下し、呼吸不全により死亡します。
狂犬病の治療法は?
狂犬病の可能性がある犬に咬まれて感染してから、症状が発症するまでは数日間です。
発症前に何度もワクチン接種をすると発症をまぬがれることもあるようです。
人をはじめ犬や猫の予防方法は確立しています。
しかし治療方法については、特効薬はなく、発症してしまったら助ける方法は未だに見つかっていません。
狂犬病の感染を防ぐには?
猫では、昭和32年(1957年)の猫での発生を最後に発生がありません。
人では、平成18年(2006年)に、フィリピンにて狂犬病の犬に咬まれ感染し、ワクチン接種をしていなかったため、日本帰国後に狂犬病を発症するということがありました。
現在、日本は狂犬病の発生のない国です。
海外に渡航などせず、日本国内に限って言えば、狂犬病に対しては人も猫も、今のところ安全な国と言えます。
狂犬病のワクチン・予防接種をする
発症前にワクチンを接種すれば、狂犬病に感染している動物に噛まれても発症まではいきません。
しかし、ワクチン接種についての知識が広まっていない地域や、ワクチンが手に入りにくい場所では、たいへん残念なことに狂犬病の犬の殺処分が行われています。
日本では現時点、犬にだけ狂犬病の注射を接種していますが、猫であっても外国へ渡航する場合や帰国時に、狂犬病ワクチン接種を義務付けられる事例があります。
予防接種の副作用としては、注射した場所が痛むなどが挙げられます。
極めて稀に、アレルギー反応(アナフィラキシー症状等)がある場合があります。
海外旅行では現地の犬猫に近寄らない
海外に猫を連れていく行く場合には、むやみに現地の犬猫に近寄らせない、接触させないことが狂犬病から飼い猫を守る、最適な手段となります。
これは人にも同じことがいえます。
もし海外で、現地の犬や猫に噛まれた場合の対処法としては、傷口を絞り出すように徹底的によく洗い流します。
唾液中にウィルスが入っているので、身体に侵入するウイルスの量を減らすのが大事です。
狂犬病ウイルスは消毒が容易で、アルコールなどでも簡単に死滅します。
何もなければ洗剤でもよいです。
猫の狂犬病の症状とは?ワクチンや予防接種には副作用があるは事実?まとめ
狂犬病の発生していない国を見てみると、日本と同じく島国の、ニュージーランド、オーストラリア、ハワイなどとなっています。
アメリカやEC諸国などの先進国であっても、狂犬病は未だに発生してるんですね。
最近は、インバウンドで外国人が日本に来たり、また、日本人が外国に行ったりということも以前よりだいぶ多くなりました。
そのようなことを鑑みると、狂犬病は猫にとっても人にとっても無関係の病気ではありません。
狂犬病について正しい知識を持ち、自分、そして愛猫の身体を狂犬病から守りましょう。