猫が爪を噛んで引っ張るのにはどんな理由がある?出血時の対処法
猫が毛づくろいをしているときに、爪を噛んだり引っ張るところをよく見かけませんか?
その行為にどんな理由があるのか、万が一出血したらどのように対処したらよいかなどを、猫の爪の役割などを絡め、深く掘り下げていきたいと思います。
猫の爪って?
猫は両前足で10本、両後ろ足で8本の爪と、前足と後ろ足の爪の本数は異なっています。
それぞれの爪は出し入れが自由自在です。
狩りのときには足音を消し、摩耗を防ぐため、ふだんは指の中に収められています。
しかし、いざ必要な場面になると、筋肉を収縮させて爪を出します。
これは、走るスピードを優先して爪を出しっぱなしのチーターを除く、すべての猫科に共通している特徴となっています。
このように、猫は自分で必要な時に爪を出しますが、人間が指の根元を押してあげれば、出す事が可能です。
爪の根元には神経が通っている?
猫の爪は内側と外側の二層構造になっています。
神経と血管が通っている部分は、内側のクイックと呼ばれます。
この部分は、飼い主さんが爪切りをする時に切ってしまわないように、十分に気を付けなければなりません。
神経や血管を傷つけるということは、怪我をさせてしまうことになります。
人間で言うと「深爪」した状態になり、大変な痛みが生じますし、出血した場合なかなか止まりません。
飼い主さんが切って可能な部分は、先端のほんの1~2mmの尖った部分のみです。
定期的な爪切りが必要?
伸び過ぎれば、常に爪が出ているのと同じになってしまいます。
猫の爪を切らないと、飼い主の皮膚に傷ができやすくなり、細菌の入り口になってしまいますし、多頭飼いでは、猫同士がけんかした時に、他の猫に傷を負わせてしまう可能性も出てきます。
毛づくろいでどこかを 掻いたりしたときに、猫自身が怪我をすることも考えられます。
猫は自分で爪研ぎをしますが、古くなった外側がはがれるだけで、先端は尖っています。
尖った先の部分はお手入れとして、定期的に切ってあげましょう。
猫が研ぐのは前足のみです。
後ろ足も気をつけて見て、カットしてあげるのは飼い主の役目です。
前足についている親指(dewclaw)も忘れずにチェックしましょう。
これを切り忘れますと、伸びた爪の先端が肉球に食い込んでしまいます。
筆者の猫がそうでした。
特に長毛種は、毛に隠れてしまい、この部分は見落としがちになってしまうので、注意が必要です。
猫の爪がはがれる理由は?
猫の爪が剥がれるのは「通常のこと」です。
猫の爪は、内側に新しいものが伸びてくると一番外側が剥がれ落ち、内側の新しいものが外側に出てきて、常に尖った状態に保てるようになっています。
中側の爪は新しく、外側にある爪の層は「古い爪」なのです。
いちばん外側のものは、猫が爪研ぎをすることではがれたり、自然にぽろっとほんの少しの刺激で、外側がはがれ落ちることもあります。
まるで脱皮したようなイメージで、爪の形そのままではがれることも多いです。
はがれて落ちてしまったものが床に落ちているのを見て「取れてしまった?」とびっくりしてしまう飼い主さんは少なくないかもしれません。
しかし、古くなって必要のない爪が落ちるので、心配しなくても大丈夫です。
猫の爪の大切な役割とは?
尖った爪は、狩りの時に必要になったり、木や塀など高いところに登る時にも、爪を引っ掛けて登ります。
素早く走る時や、狭い場所や滑りやすい場所を歩く時にも活躍しています。
獲物を捉える時には、爪を指の中にしまって足音を消していますが、必要になると出して、滑り止めや攻撃の際の武器の役割を果たします。
他にも、猫同士の喧嘩や、敵を威嚇する時などにも爪をむき出しにして相手に立ち向かいます。
猫の身を守るのにも、大切な役割となっているのです。
猫が爪を噛む、引っ張るしぐさの理由は?
毛づくろいの最中、猫が爪や指の辺りを噛む、引っ張るしぐさを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
噛む理由として考えられるのは、次のようなことです。
普段の毛づくろいとしてしている
猫が指先を噛むのは、猫の毛づくろいのひとつですので、特に気にする必要はありません。
指を広げて間を舐めたり、爪を抜くような感じで噛んで引っ張るという行為もよく見受けられます。
やりすぎて指の血管を傷つけ、出血するのであれば、獣医師に見てもらう必要がありますが、それ以外は特に問題はない行為です。
伸びているので気になっている
前にも述べたとおり、猫の爪は、毛づくろいしたり研いだりすることで、古い外側がはがれて、新しいものが表面に出てきます。
猫が毛づくろいの時に自分で爪を噛む、または引っ張るのは、古い爪がはがれかけていて、違和感を感じたり、邪魔になったりしているからです。
指先を丁寧にお手入れすることで、猫自身で爪をはがそうとしているのでしょう。
伸びていて気になっているような様子が見受けられれば、飼い主がカットしてあげる必要があります。
怪我や化膿などで痛い、かゆい
猫は痛かったり、かゆかったりする場合、その部分を尋常ではないほど舐めます。
これは、猫を飼ったことがある方ならよくわかりますよね。
爪を気にして長時間舐めている場合は、指の付け根をやさしく押して、爪の根元が見えるように出して、しっかり観察してみてください。
根元が赤くなったり腫れたりしていれば、感染症や病気にかかっている可能性があるので、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
何かストレスを感じている
ストレスから指先を噛んでしまう場合もあるようです。
寂しかったり、遊んでもらいたかったり、退屈だったり、何かに不満があるというケースで噛む行為をしてしまうということです。
いわゆる、自傷行為ですね。
猫に寂しい思いをさせていないか、ケージに閉じ込めっぱなしで運動不足になっていないかなど、普段の飼い方を振り返ってみるよい機会です。
猫が気が済むまで遊んであげて、リラックス出来る環境づくりに勤めましょう。
出血した時の対処法
もし愛猫が爪から出血してしまった場合、どうしたらよいのでしょうか。
普段から知識を持ち合わせていれば、いざそうなっても慌てずに対処することができます。
家の中で怪我をした場合の処置の手順
万が一、出血してしまった時の対処法を、1つずつご紹介します。
1.出血の様子を確認する
指先から出血しているのを発見した時には、慌てず落ち着いて、まずどのくらいの怪我なのかを見極める必要があります。
猫が触らせてくれる場合は、やさしく猫を抱いて、出血の場所や量を確認しましょう。
大きな声を出して猫を驚かせたり、血が出ている足を引っ張ったりしないようにしましょう。
2.止血する
一番先にすることは止血です。
もし爪がはがれているような場合でしたら、出血も多量になってきます。
止血できそうなら、ガーゼや脱脂綿などで血が出ている部分を抑え圧迫して血を止めます。br>強く押しすぎないように気をつけましょう。
ペット用の止血剤を使う方法もあります。
ホームセンターやペットショップ、通販等でも購入することができますので、常備しておくと安心かみしれません。
止血剤の多くはパウダータイプになっており、使用方法は、少しの量を綿などにつけて、出血しているところに押し付け数秒間抑えます。
押さえる強さは、猫が痛がらない程度にしてください。
それで血が止まれば、応急処置は完了です。
3.獣医師の診断を受ける
応急処置をした後は、病院で獣医師の診察を受けましょう。
血が止まらない場合は、ガーゼや綿で押さえながら患部の止血をした状態のままで、病院に連れて行ってください。
また、血が止まったとしても、出血していたところを注意深く経過観察してください。
炎症を起こしたり傷が残ったりして、悪化する可能性があるからです。
傷口からばい菌が入らないとも限りません。
患部が腫れたり赤くなったりしているのを確認できた場合は、できるだけ早く獣医師に診察してもらいましょう。
外に出ていて怪我をしていた場合の処置の手順
家の中で出血が見られた場合には先ほどの手順で対処出来ます。
が、お外に出かけた帰りに怪我をしていたり、出血している場合には細菌などの危険性もあるため手順が少々変わってきます。
1.安全な場所に保護する
まず猫を家の中の安全な場所に入れ、また外に出てしまうことのないようにします。
2. 出血の様子を確認する
猫を脅かさないのは家の中のけがの時と同じですが、外から帰ってきて怪我をしている場合は、指先以外にも怪我をしていないかを見る事が大切です。
他に怪我をしていれば、すぐに獣医さんに診てもらう必要もあります。
猫同士のけんかが原因だった場合、感染症も心配です。
飼い主では判断できない場合も多いので、なるべく動物病院に連れて行った方が安心でしょう。
3.水道水で洗浄する
指先だけの怪我ですんでいるようであれば、怪我の様子を観察しましょう。
汚れたり血がついていれば、ぬるま湯で傷をやさしく洗い流してあげます。
4.止血する
血が止まっていないようであれば、上記の方法と同様に止血を試みてください。
5.獣医師の診断を受ける
外で怪我をした場合は、室内で怪我をした時よりも、感染症や化膿のリスクが高いと言えます。
出血が止まっていても、傷が深かったり化膿していたりすれば、動物病院で治療を受けましょう。
猫が爪を噛んで引っ張るのにはどんな理由がある?出血時の対処法
猫の爪は切ってあげたと思ったら、あっという間に伸びていますね。
暴れたりするので、なかなか爪切りは大変で、筆者も動物病院に行けば必ず爪切りをお願いしています。
猫が爪を噛んだり引っ張る行為には個体差があるようで、我が家の白猫は全くしませんが、黒猫の方は良くしており、爪の抜け殻?が床に結構落ちています。
猫と気持ちよく暮らすためにも、爪の観察は定期的に行うことが大切ですね。