猫が背中の毛を逆立て、蛇のような口で「シャー」と鳴いているのを一度は目にしたことがあるでしょう。
このシャーを見ると、怒っている、機嫌が悪いなどの意味にとる方が多いのではないでしょうか。
実際、猫はなぜシャーと言う鳴き声を発するのか気になりますよね。
また、猫がシャーと言う際、飼い主さんはどう対処したらいいのかも知りたいものです。
この記事では、猫がシャーと言う際の気持ちや、対処法を紹介します。
猫が鳴くのはなぜ?
猫といえば「ニャア」鳴くイメージがありますよね。
猫は良く鳴くというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、それは飼い主さんの前であるからです。
野生化では、自分の居場所が敵にばれないためにも、めったに鳴くことはありません。
猫同士の意思疎通やコミュニケーションは、身体を使って行います。
人間とは身体で意思疎通ができないため、鳴くことで意思表示をしていると考えられます。
猫が鳴く理由は、大きく「甘える・要求を伝える」「不安・恐怖を感じている」「発情・威嚇している」際の3種類に分類されます。
メスよりもオスのほうが良く鳴く傾向にあるようです。
猫がシャーとなくのはなぜ?
猫がシャーっと鳴くのは、どのような時なのでしょう。
ここでは、猫がシャーと鳴く理由を見ていきましょう。
恐怖、敵意を感じた
ほかの動物と目が合った際や、子猫を持つ母猫に近づいた際、怒りや恐怖心からシャーと鳴いて威嚇をします。
これには「出ていけ」「これ以上近づいたら攻撃するぞ」という意味があります。
万が一猫にシャーと鳴かれた際には、目をそらせて静かにその場を去りましょう。
縄張りに侵入された
猫は縄張り意識の強い生き物です。
自分の縄張りにほかの猫や生き物が侵入すると、毛を逆立てシャーと鳴いて威嚇します。
家の中で飼育していても、家の中を縄張りにしているため、新米猫などをお迎えした際には威嚇をする可能性が高まります。
新しい家族をお迎えした際には、いきなり鉢合わせることは控え、ほかの部屋で慣らす、ケージ越しに対面させることから始めましょう。
飼い主に不満がある
愛猫は非常に可愛く、ついついたくさん触ってしまいがちですよね。
しかし、猫はあまり激しいスキンシップを好まない性格の子もいます。
つかず離れずの関係を好む猫は少なくありません。
そこに飼い主さんが必要以上に触ったり撫でたりと過剰なスキンシップをとることは、猫にとってストレスです。
「もうやめて!」という意味でシャーと鳴くことがあります。
この場合は、しつこく触ったりしかったりせず、そっとその場から距離をとり猫が落ち着くのを待ちましょう。
シャーといわれたときの対処法は?
飼い主に対してシャーと鳴かれると、ついつい腹が立ってしまいがちです。
しかし、少し深呼吸をして落ち着いて考えてみましょう。
猫がシャーと鳴くには、必ず理由があります。
飼い主に対して鳴いた場合には、しつこくスキンシップをとりすぎてしまったのかもしれません。
また、来客などに対して鳴いた場合には、トラブルを防ぐためにケージに入れるなどして対処する必要があります。
飼い主さんは、何に対して猫が怒りや恐怖心を抱いているのか状況を把握し、それに合った対処、対応をする必要があります。
猫は興奮が落ち着くと次第に元に戻るため、そっとしてあげましょう。
猫のゴロゴロ音のしくみ
シャーという鳴き声が怒りや威嚇など負の意味があるのに対し、甘えや嬉しさを表現する鳴き声が喉をゴロゴロさせる仕草ではないでしょうか。
猫が喉をゴロゴロさせるときは、本当に気分が良い時なのか、詳しく紹介します。
そもそも猫が喉を鳴らす仕組みは喉頭の筋肉を収縮することで声帯が振動し、鳴いているとされています。
このゴロゴロには、以下のような意味があります。
1:幸せな時
飼い主さんが喉をなでたりした際にゴロゴロ鳴らすのは、リラックス状態で自分は今幸せであるという意思表示をしています。
人間でいうところの「笑顔」に当てはまります。
2:親子のコミュニケーション
母猫と子猫の間でも、良くこのゴロゴロ音を発します。
これは親子のコミュニケーションです。
喉を鳴らすことで「自分は元気だよ」と伝えていると考えられています。
3:低めのゴロゴロは要注意
飼い主さんとのスキンシップや、親子間の愛情表現以外に、低い音でゴロゴロ鳴らすのは、痛みや苦しんでいます。
ケガの痛み、分娩時や病気などの苦しみ、ケンカで負けそうなときなどに見られます。
猫がゴロゴロと喉を鳴らす理由は、幸せや愛情表現の意思表示が主ですが、まれに苦しみや痛みのサインでもあるので、間違えないように気を付ける必要があるでしょう。
猫はほかにどんな鳴き声があるの?
猫は鳴き声で感情表現をします。
シャーやゴロゴロ以外には、どんな鳴き声があるのか、代表的な鳴き声と意味を紹介します。
1:ニャア・ミャーオ
比較的よく聞く鳴き声です。
これは飼い主さんへ何かを要求しています。
お腹が空いた、トイレを掃除して、遊んでなどです。
2:うにゃうにゃ
ご飯を食べながらうにゃうにゃ言うのは、「おいしい」という意味があります。
時々このうにゃうにゃが「まぐろおいしいね」に聞こえる猫もいますよ。
3:サイレントにゃー
声を出さずに口の動きだけでニャーと鳴くのは、子猫が母親に甘える際の鳴き声です。
成猫の場合は、子猫帰りしていると考えられます。
4:ケケケ・ククク
この鳴き声は猫特有のもので、クラッキングと呼ばれています。
これは獲物を見つけた際、捕食したいという欲求から来る興奮状態を示しています。
5:長めのニャー・ニャーオ
通常より長めのニャー・ニャーオは、分離不安によりおいていかないで、一人にしないでという意味があります。
パニック状態になっている場合もあるため、飼い主さんはむやみに手を出すのではなく、まずは大丈夫と優しく声をかけて安心させてあげましょう。
猫は鳴き声によってさまざまな意思表示をしており、鳴き声のバリエーションはこれだけではありません。
猫は人間の言葉を話すことはできませんが、しっかり自分の気持ちを鳴き声で伝えています。
まとめ
猫がシャーと言うのには、以下のような意味があります。
- 怒り、敵意を感じた時
- 縄張りに侵入された
- 飼い主に不満がある
対処法としては、まず興奮状態の猫をそっとしておくことです。
そして、何に対して猫がシャーと言っているのか原因を突き止め、解消してあげることが大切です。
むやみに叱ったり、手を出すのは禁物です。
また、猫は鳴き声で意思表示をすることが多く、さまざまな鳴き声で私たちに気持ちを伝えています。
飼い主さんは、愛猫の意思表示を見逃さないようにして、より良い関係を築きましょう。