猫に牛乳を与えるというのは、一昔前であればどこの家庭でも普通に行われていました。
しかし、最近では猫に牛乳を与えるのは良くないと言われています。
猫が好きな牛乳を飲ませてあげたい、と水で薄める方も多いと思いますが、薄めれば牛乳を与えても大丈夫なのでしょうか?
そこで今回は、猫に牛乳を与えてはいけないとされる理由や、薄めることに意味があるのか調べてみました。
猫に牛乳を与えないほうがいい理由5つ
猫は牛乳が大好きですね。
牛乳を与えても大丈夫な猫もいれば、牛乳を飲んだら下痢になったり吐く猫もいます。
体に合わないといってしまえばそれまでですが、それだけで猫に牛乳を与えないほうがいいとされるわけではありません。
ここでは、猫に牛乳を与えないほうがいい理由について見ていきましょう。
乳糖不耐症により下痢や吐くといった症状が出る
猫に牛乳を与えないほうがいいと一般的にいわれる理由に、乳糖不耐症にあります。
牛乳には乳糖が多く含まれ、体内の乳糖分解をする酵素であるラクターゼの不足により、牛乳を飲んでも消化や吸収ができずに、下痢や吐くといった症状が表れてしまいます。
実は猫の乳にも乳糖は含まれており、牛乳の乳糖を4.7とすると、猫の乳には3.3の乳糖が含まれています。
授乳を必要とする子猫の時期では、体内に乳糖を分解する酵素であるラクターゼは備わっているのですが、乳離れをすると一気にラクターゼが10分の1にまで減ってしまいます。
しかし、ラクターゼには個体差があるため、牛乳を飲んでも大丈夫な猫と、下痢や吐くといった症状が表れる猫がいるのです。
栄養の摂り過ぎで肥満に
猫が牛乳を飲んでも何も起こらないから、といって牛乳を与えるのは、猫の肥満にも繋がります。
牛乳にはたんぱく質や脂質、炭水化物を始め、ビタミンAやビタミンB郡、カリウム、カルシウム、リンなどが多く含まれている準栄養食です。
通常のキャットフードで十分に栄養が摂れている猫に牛乳を与えることは、肥満の原因ともなってしまいます。
あるなら、フードを食べてくれない時に与えてもいいのでは?と思われがちですが、そもそも猫の乳と牛の乳は栄養成分が違うため適していません。
特に子猫の栄養補給にと牛乳を与えてしまうと、成長に必要な栄養分が不足して発育不良となる可能性があるので、与えないようにしましょう。
牛乳にアレルギーがあることも
猫によっては、乳製品や牛乳にアレルギーを持っている場合もあります。
アレルギーの症状は、皮膚の失神や赤みが現れるほか、痒みを伴うために掻く、舐める、噛むといった動作が見られます。
猫によっては下痢や吐くといった症状もあるため、乳糖不耐性だと思っていたらアレルギーだった、なんてことも少なくありません。
尿路結石になりやすくなる
猫に牛乳を与えないほうが良いとされる一番の理由に、尿路結石になりやすくなることが挙げられます。
猫の尿路結石で多いのは、マグネシウムの摂り過ぎを原因とするストラバイト尿路結石や、カルシウムの摂り過ぎによるシュウ酸カルシウム尿路結石です。
牛乳にはカルシウムが多く含まれているため、猫に牛乳を与えることで尿路結石になる確立がグッと高くなってしまうのです。
高齢猫は寿命を縮める恐れも
高齢猫にとっても、水分補給や栄養補給に牛乳を与えることは、寿命を縮める恐れが高くなります。
牛乳に含まれるナトリウムイオンは、体の水分量や浸透圧の調整、神経の伝達や筋肉の収縮に必要な電解質ですが、体内にナトリウムイオンが入ると、腎臓の働きによって必要な分と排泄される分に分けられます。
腎臓機能が低下してくる高齢猫では、腎臓に負担がかかるだけでなく、不必要なナトリウムイオンの排泄ができなくなり、体液が過剰となって高血圧やむくみとなり、心臓にも負担がかかってきます。
そのまま進行してしまうと、肺水腫やうっ血性心不全となり命を落としてしまうことにも繋がるのです。
猫が牛乳を好きだからといって薄めるのは意味がない?
猫が牛乳を好きだから、水で薄めれば与えても大丈夫だろう、と思っている方も多いでしょう。
水で薄めて与えれば大丈夫、といった内容のインターネット上のサイトも数多く存在します。
しかし、もともと猫の体に適していない牛乳を薄めることで、対策になるのでしょうか?
ここでは、牛乳を薄めるのは意味がないことなのかを見ていきましょう。
牛乳を薄めても危険!
結論から言えば、牛乳を薄めることに意味はなく、猫の体にもたらす影響に変わりはありません。
例えば、猫にいつも100ccの牛乳を与えていたけど50ccにして後は水にした、とすれば、50cc分のそのままの栄養成分が体内に入ることになります。
牛乳を飲む量は減りますが、乳糖を始めとするカルシウムやナトリウムイオンの濃度が薄まるわけではありません。
ですから、猫が牛乳を好きだからといって、薄めることに意味はなく危険なことには変わらないのです。
牛乳の代わりになる猫に与えても大丈夫なミルクは?
猫に牛乳を与えてはいけないとはいっても、猫は乳製品や牛乳が大好きです。
実際、成猫にもなるとミルクは必要がないのですが、水を飲まない猫の水分補給やおやつとしてミルクを与える方も多いです。
猫の健康を害することなく与えられるミルクがあれば、猫にとっても牛乳の代わりとなって嬉しいですね。
そこでここでは、猫に与えてもいいミルクをご紹介します。
ペットのための牛乳
まずは、ペットのための牛乳です。
猫用と犬用があり、猫用には幼猫用や成長期用、成猫用やシニア用、更には乳酸菌プラスや低脂肪乳までバリエーションがあります。
保存料や香料の使用はなく、タウリンを配合しています。
乳糖がカットされているため、乳糖不耐症の猫でも飲むことができるので味は普通の牛乳に比べると劣りますが、牛乳好きな猫にはおすすめです。
国産の生乳を使用して猫専用に作っていますが、与えすぎは肥満やカルシウムの摂り過ぎの原因となるため、1日に与えていい量を守りましょう。
ヤギミルク
続いてご紹介するのは、ヤギミルクです。
ヤギミルクは様々なところから販売されていますが、成分やカロリーを考えると、おすすめなのはこちらのヤギミルクです。
ヤギミルクは栄養バランスがいいことや、タウリンが豊富、消化、吸収にも優れているため、現在最も注目されているミルクです。
こちらは全脂粉乳タイプなので、溶かして使用してもいいですし、フードに少しかけてあげることもできます。
猫の肥満によるカロリーが気になる方は、同じメーカーの脱脂粉乳タイプがおすすめです。
ただし、こちらもミルクなので与えすぎには注意してくださいね!
猫に牛乳を与えるのはやめよう!|まとめ
今回は猫が大好きな牛乳を、猫に与えてはいけない、という猫に申し訳ない内容をご紹介しました。
しかし、何も知らずにただ好きだからという理由で与えたり、水で薄めることは猫にとって何一ついいことはありません。
猫が牛乳を飲んで下痢や吐くといったことだけであれば、下痢をしない、吐くことのない猫であれば飲ませてもいいのではないかとなりますが、猫が牛乳を飲んだことによる体への影響はそれだけでなく、決して見逃すことはできません。
猫に与えても大丈夫なミルクなどを上手に活用し、愛猫の健康を一番に考えてあげましょう!