猫を多頭飼いしていると、どうしても避けられないのが猫同士の喧嘩です。
猫は遊びのつもりでじゃれ合うこともありますし、それがエスカレートして喧嘩になってしまうこともあります。
ここでは、喧嘩の仲裁はしたほうが良いのか、喧嘩をしないためにはどのような配慮をしたら良いのかをご説明します。
喧嘩と遊びを見分け上手に仲裁することで、猫同士仲良く暮らせる環境を作ってあげましょう。
猫の喧嘩とその理由
猫の喧嘩は春夏の夜になるとよく起こりますね。
いきなり大きな鳴き声が聞こえてびっくりした、という経験は誰しもあるのではないでしょうか。
猫は喧嘩をするとき、自分を大きく見せることでより優位に立とうとします。
優勢の猫は毛を逆立てて腰を高く上げ、目や耳を吊り上げ睨みつけることで相手を威嚇します。
劣勢の猫は地面に伏せ自分を小さく見せようとします。
両者が睨み合い、「ウ~」「シャー」というような唸り声で威嚇し、相手が引かない場合に爪や牙での攻撃が始まります。
どちらか一方が攻撃を止めると喧嘩は終了し、その後勝ったほうの猫が攻撃を続けることはありません。
猫が喧嘩をする理由①縄張り争い
猫にはそれぞれ縄張りがあります。
それは場所である場合もありますし、物(所有物)であるときもあります。
そのため、自分の縄張りには頬から分泌される匂いホルモンをこすりつけます。
そこに他の猫が侵入した場合に、縄張り意識が強い猫は威嚇をして喧嘩を始めます。
猫が喧嘩をする理由②メス猫争い
概ね喧嘩はメス猫よりもオス猫がすることが多いです。
そして、去勢していないオス猫はメス猫を巡って喧嘩をします。
自分の子孫を残すための生存競争というわけです。
猫が喧嘩をする理由③遊びの途中で興奮した
兄弟の猫や小さい頃から一緒に過ごしている猫は仲が良く、じゃれ合いをすることが多いです。
しかし、じゃれ合っているなかで甘噛みのつもりが本気で噛んでしまったり爪で引っ掻いてしまったりすると、相手の猫が「何をするんだよ!」と怒ってしまい喧嘩が始まります。
喧嘩と遊びの見分け方
仲が良い猫でも喧嘩をしてしまうことがありますが、その遊びと喧嘩の違いはなんでしょうか?
見分け方を知ることで、猫が怪我をする前に仲裁に入るべきかを判断できるようになります。
鳴き声の変化
猫の喧嘩の鳴き声には低い唸り声である「ウ~」と、高い声の「ウニャー」、威嚇をするときの「シャー」などがあります。
威嚇をするときの「シャー」は喧嘩の前段階であり、「来るな、見るな」などの意味があります。
そのため、これだけであればまだ喧嘩とは言えません。
それが低い唸り声や高い声へと変わったら喧嘩が始まったということになります。
態勢や尻尾、目つきの変化
喧嘩するときは全身の毛が逆立ち、尻尾が大きく膨らみます。
そして体を大きく見せようと腰を高く上げた姿勢をとり、耳はイカ耳になり、目は見開き瞳孔が大きくなります。
相手を睨みつけ、この態勢で威嚇をしているならば喧嘩が始まるサインです。
攻撃的になっているか
猫は遊びでじゃれ合うときは、爪を引っ込め決して相手を故意的に傷つけようとはしません。
しかし喧嘩をするときには指先から爪を出し、猫パンチや猫キックのときに相手の体を傷つけようとします。
そして、噛むときも甘噛みではなく本気で噛もうとします。
飛びかかり相手を傷つけようとする、しつこく追いかけるなどの行動がみられたら喧嘩と判断しましょう。
仲裁はするべき?良い仲裁の方法とは
猫同士が喧嘩をするときに心配なのが怪我ですよね。
飼い猫であれば喧嘩の仲裁に入らなくても自然と解消するものですが、なかにはそのようにいかない猫もいます。
怪我をするほどの大喧嘩や、一方が怯えてしまうような喧嘩の場合には飼い主が仲裁に入りましょう。
このとき、無理に止めに入って飼い主が流血しないよう気をつけなければなりません。
そして注意したのが、喧嘩のあとに優勢であるほうの猫を叱ることです。
これは猫同士で余計に仲をこじらせる原因にもなるからです。
喧嘩を止める方法①大きな音で驚かせる
両手でパンッと叩いたり、床や壁を叩いたりして大きな音を出すことで猫は驚きます。
気を逸らしてあげることで、一瞬の緩みをつくってあげます。
喧嘩がヒートアップする前に行うと良いでしょう。
喧嘩を止める方法②ダンボールなどで遮る
2匹の間を遮ることで、相手の姿を見えなくします。
顔を合わせなければ自然と猫も落ち着き始めます。
そのあとはしばらく両者違う部屋で隔離するなどして完全に落ち着くのを待ちましょう。
喧嘩を止める方法③霧吹きで水をかける
猫は体に水がかかるのを嫌う生き物です。
霧吹きなどで水をかけることで、両者が一旦喧嘩を止めるように仕向けます。
このとき、怯えているほうの猫ではなく優勢であるほうの猫をめがけて水をかけるようにしましょう。
喧嘩をしないよう環境を整えよう
猫がいちど喧嘩をしてしまえば、猫はもちろん飼い主も怪我をしてしまう恐れがあります。
まずは喧嘩をしないような環境づくりや配慮を手掛けましょう。
オス猫は去勢手術をする
猫が喧嘩をする理由として、メス猫争いがあります。
去勢手術をしていればメス猫を巡っての喧嘩はなくなります。
また、去勢済みの猫は縄張り意識が少し弱まり、性格も丸くなると言われています。
隔離部屋やケージなどを準備しておく
人間にも相性があるように、猫にも相性の良し悪しがあります。
それはたとえ兄弟でも同じです。
仲が悪そうで喧嘩が勃発しそうなときには、喧嘩をする前に2匹の距離感を上手に保つようにしてください。
また飼い主が不在のときには、別々の部屋で過ごさせるなど喧嘩ができないよう環境をつくってあげましょう。
ストレスを発散させる
喧嘩をする猫の性格は攻撃性であることが多いです。
ストレスが溜まったときに他の猫に転嫁して喧嘩をしてしまうこともあります。
そうならないために、普段からストレスを溜めさせないようにすることが大切です。
キャットタワーやキャットウォークを工夫する、おもちゃでたくさん遊んであげる、猫とふれあう時間を増やすなど、猫がストレスなく安心して過ごすことのできるよう配慮してあげてください。
まとめ
猫は本能的な縄張り意識などから、喧嘩をしてしまう生き物です。
そしてそれは、仲が良い猫同士でも突然起こりうることです。
猫が喧嘩をしてしまうことで、猫同士の仲が悪くなったり怪我をしてしまったりするおそれがあります。
そのため、猫の喧嘩に仲裁は必要であり、また喧嘩をしないよう環境を整えてあげることも飼い主の大事な務めです。
遊びと喧嘩を見極め、素早く対処できるよう日頃から猫同士のやりとりを観察してみましょう。