舌を出す猫

キャットフード【pHコントロール】と普通の餌の違いとは?食べない時の対処法

猫の下部尿路疾患のために作られた食事療法食「pHコントロール」シリーズ。普通の餌との違いをご存知ですか?今回はpHコントロールの種類と特徴、食べない時の対処法やリニューアルしたユリナリーS/Oについてもご紹介します。

猫の下部尿路疾患(ストルバイト結石症/シュウ酸カルシウム結石症)のために作られた食事療法食、ロイヤルカナンの「pHコントロール」シリーズ

使用されている方も多いと思いますが、普通のキャットフードとどのような違いがあるのかしっかりと把握していますか?

今回はpHコントロールの種類や特徴、食べない時の対処法、リニューアルしたユリナリーS/Oについてもご紹介します。

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市販のキャットフードとの違い

満足そうな猫

pHコントロールは動物病院専用の食事療法食です。

市販のフードとは全く違う扱いですので、必ず獣医師の指導の元、動物病院で購入して下さい。

では、具体的には普通の餌とどんな違いがあるのでしょうか?

尿のpH値を調整している

製品名の通り、pHをコントロールしてくれています。

pHと言うのは水素イオン指数のことで、いわゆる酸性・中性・アルカリ性を表す数値です。

細菌感染や食事、生まれ持った体質などによって変わるのですが、酸性に傾きすぎるとシュウ酸カルシウム結石、アルカリ性に傾きすぎるとストルバイト結石が出来やすい状態になります。

そこでpHコントロールは、各ミネラル成分のバランスを調整することにより尿pHを弱酸性に維持出来るようになっています。

飲水量と尿量を確保している

結石の原因の1つに、飲水量不足が挙げられます。

猫の祖先が乾燥した砂漠で生活していた生き物なだけに、そもそも水を飲むという習性がなく、あまり水分補給をしてくれません。

水分が少ない濃縮された尿になるので、結石が出来やすくなるのです。

pHコントロールは、塩分(ナトリウム)を多めに含むことにより喉が乾くように作られています。

またミネラルなどの栄養バランスが調整されており、健康的な尿量を維持することが出来ます。

塩分が多いと聞くとと健康に悪いイメージがありますが、あくまでも飲水を促すためのもので身体に負担がかかるような量が入っている訳ではありません。

ただし、心臓病や重度の腎臓病の場合は塩分を制限する必要がありますので獣医師の指導の元に使用しましょう。

マグネシウムを制限しているわけ

ストルバイト結石は、別名「リン酸アンモニウムマグネシウム結石」とも呼ばれます。

その名の通り、リン酸・アンモニウム・マグネシウムの成分から構成されている結石だからです。

そのためpHコントロールは、マグネシウムの量を制限することによりストルバイト結石が出来にくいように作られています。

豊富なラインナップ

餌を食べる猫

下部尿路疾患を持つ猫が非常に多いため、尿路ケア系のフードは数多く販売されています。

そして今回ご紹介している、pHコントロールの中にも様々なタイプが用意されています。

ここからは各製品の特徴と、リニューアルしたユリナリーS/Oについてご説明します。

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2019.06からリニューアル

ロイヤルカナンより、pHコントロールシリーズの製品名・パッケージデザイン・一部内容量・レシピを変更するとの発表がありました。

継続販売されるものもありますが、多くはpHコントロール→ユリナリーS/Oにリニューアルします。

各所の在庫状況にもよりますが、2019年6月より順次切り替えられています。

pHコントロール0

変更後→ユリナリーS/O

以前は結石を溶かすまでの治療用フードとして使われており、結石が溶けた後は再発予防用フードに切り替える必要がありました。

ですが、改良された現在は結石の溶解、そして溶解後の再発予防にも使用出来るようになっています。

シリーズの中で1番ノーマルなタイプとも言えるでしょう。

また、当初は”結石の溶解度”に重点を置かれていた製品でしたが、現在はシリーズ全てにpHコントロール0と同等の溶解・予防効果があるそうです。

pHコントロール1(継続販売)

当初はストルバイト結石症の子向けに作られたフードでしたが、改良によりシュウ酸カルシウム結石の子にも使用出来るものになりました。

どちらかと言えばストルバイト結石向けのフードです。

ノーマルタイプはチキン味で、「pHコントロール1フィッシュ」というフィッシュ味タイプもありますので好みのものを選べるのも良いですね。

もちろん結石の治療にも、溶解後の再発予防にも使えます。

pHコントロール2(継続販売)

こちらは1の反対にシュウ酸カルシウム結石の子向けに作られたフードでしたが、改良によりストルバイト結石の子にも使用出来るものになりました。

どちらかと言えばシュウ酸カルシウム結石向けのフードです。
こちらももちろん治療にも再発予防にも使えます。

次にご紹介しますが、フィッシュ味は終売になりチキン味のみの継続販売となりました。

pHコントロール2フィッシュ

変更後→ユリナリーS/Oオルファクトリー

pHコントロール2の味違いとして販売されていましたがリニューアルにあたって終売となりました。

移行品として作られたオルファクトリーには、Olfactory=嗅覚の意味があり、グルメな猫向けに食欲をそそる香りが付けられています。

原材料に魚肉が使用されているので、味はフィッシュテイストが引き継がれているようです。

pHコントロールライト

変更後→ユリナリーS/Oライト

結石を持つ肥満の猫用に作られたフードです。

肥満も結石を作る1つの要因ですので、結石治療と共にダイエットをすることが大切です。

ノーマルなユリナリーS/Oと比べると

  • ユリナリーS/O 387kcal/100g
  • ユリナリーS/Oライト 352kcal/100g

カロリーが抑えられていることが分かりますね。

そして、低脂肪・高タンパクにもなっているので満足感もあり、筋肉を維持しながら脂肪を落とすことが出来ます。

pHコントロールオルファクトリー

変更後→ユリナリーS/Oオルファクトリーライト

結石を持つ肥満かつグルメな猫のために作られたフードです。

ダイエットの必要があるけれど、低カロリーなフードは食べてくれない…という猫ちゃんのために、猫の食欲をそそる香りが付けられています。

猫は味覚よりもまず香りに食欲を左右されますので、美味しい香りが付いていることは重要です。

カロリーも346kcal/100gと更に抑えられており、ダイエット効果も期待出来ます。

pHコントロール+CLT

変更後→ユリナリーS/O+CLT

結石症と突発性膀胱炎の猫のために作られたフードです。
猫の下部尿路疾患の50%以上はストレスが関与していると言われています。

そのため、ストレスを軽減させる効果のある加水分解ミルクタンパク(加水分解α-S1トリプシンカゼイン)とL-トリプトファンが含まれています。

また、膀胱炎に配慮して抗酸化・抗炎症作用のあるEPAやDHAも配合されています。

  • 加水分解ミルクタンパク
  • 母乳に含まれるα-S1カゼインというタンパク質をトリプシンで加水分解したもので、不安や恐怖などのストレスを緩和する作用があります。

  • L-トリプトファン
  • ”幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンを合成するアミノ酸で、幸福感を増加させ、不安や興奮を抑える作用があります。

ユリナリーS/Oエイジング7⁺+CLT

こちらは新たに発売された7歳以上のシニア猫用のフードです。
通常のCLTに加えて、高齢期をサポートする以下の成分が配合されています。

  • 低リン/低ナトリウム
  • リンとナトリウムは健康な猫には必要な栄養素ですが、シニア猫がかかりやすい腎臓病を悪化させる原因となるため、量を制限しています。

  • 抗酸化物質カクテル
  • ビタミンE・ルテイン・タウリン・β-カロテン・リコピンが配合されており、活力と認知機能、腎臓をサポートしてくれます。

  • EPA+DHA
  • 先ほど膀胱炎に効果があるとしてご紹介しましたが、高齢期に大切な関節・心臓・腎臓・認知機能等の健康維持にも効果があります。

  • グルコサミン+コンドロイチン
  • 高齢猫の90%が罹患すると言われる関節炎に配慮してグルコサミンとコンドロイチンが配合されています。

食べない時の対処法

元気のない猫

「食べ慣れたフードしか食べない…」「今まで食べていたのに好みが変わった、食べ飽きてしまった…」など療法食を食べない時の対処法をご紹介します。

いつものフードに混ぜる

療法食が必要になったからといって、いきなりフードを変更していませんか?

勿論いきなり変更しても食べてくれる子は良いのですが、食べ慣れたものを急に変えられると食べなくなってしまう子は多いです。

猫ちゃんの性格や好き嫌いの度合いにも寄りますが、フードの切り替えには1〜2週間はかけましょう。

例えば、初日はフードの10%を療法食に変えてみて、それから毎日10%ずつ増やして行きます。

上手く行けば5日目には半分、10日目には完全に切り替えることが出来ます。

好みの味を見つける

ご紹介したように、pHコントロール(ユリナリーS/O)には様々なラインナップがあるので、好みの製品を探してあげましょう。

小袋のサンプルを用意している動物病院もありますので是非1度相談してみて下さい。
特にオルファクトリーは美味しく作られているのでどうしても食べてくれない子にはおすすめです。

反対に、ノーマルなものを食べてくれる子には食べ飽きたときの手段として残しておく方が良いでしょう。

パウチタイプを使う

これまでドライフードのみをご紹介していましたが、実はウェットフードも販売されています。

食欲が落ちている猫には、香りの強い缶詰やパウチ、肉や魚類をトッピングして食欲を刺激するという方法が一般的ですが、食事療法が必要な場合は市販の餌やおやつは使えません

そんな猫ちゃんにも安心して使えるパウチがこちら。

  • ユリナリーS/Oパウチ(旧:pHコントロールパウチ)
  • ユリナリーS/Oライトパウチ(旧:pHコントロールフィッシュテイストパウチ)

ノーマルタイプとダイエット用のライトタイプが用意されています。
与える前にレンジで少し温めると、より香りが強まって食欲が刺激されるのでおすすめです。

火傷をしないように温度チェックは忘れずにして下さいね。

メーカーを変更する

色々試したけどやっぱり食べない!そんな場合には他のメーカーの療法食に変えましょう。

ロイヤルカナン以外にも、下部尿路疾患用の食事療法食を販売しているところは沢山あります。

ただし、市販の尿路ケア系フードと動物病院専売の食事療法食は別物ですので注意して下さい。

動物病院によって取り扱っているメーカーの幅にも違いがありますので、どんなものがあるかかかりつけに問い合わせてみましょう。

常時置いていない製品でも取り寄せてくれる可能性もありますので、まずは1度相談してみて下さい。

おやつをあげたい時は

寝転んだ猫

せっかく療法食を与えているのにおやつを食べてしまうと、効果が下がるばかりか療法食を与えている意味がなくなってしまう可能性もあります。

でも、「たまにはおやつも食べさせてあげたい」とお悩みだったり、「おやつなしは可哀想…」と今まで通り与えている方もいるでしょう。

そんな方におすすめなおやつがあります。

療法食トリーツ

ロイヤルカナンでは「ユリナリーS/Oトリーツ」という療法食のおやつバージョンが販売されています。

下部尿路疾患を持つ猫に与えることを目的として作られたおやつで、マグネシウムなどのミネラル成分が調整されています。

これなら安心して与えることが出来ますね。
こちらも動物病院で販売されていますので確認してみて下さい。

まとめ

pHコントロール/ユリナリーS/Oシリーズについての疑問は解決出来たでしょうか。

普通のキャットフードとは全く違う作りになっていることがお分かり頂けたと思います。

種類も豊富で、

  • グルメな猫ちゃんにはオルファクトリー
  • 太っている猫ちゃんにはライト
  • ストレスに弱い猫ちゃんにはCLT
  • 7歳以上の猫ちゃんにはエイジング

と愛猫に合ったものが選べるのも嬉しいですね。

パウチやトリーツもありますので、食の楽しみを広げるためにも是非活用してみて下さい。

下部尿路疾患は繰り返すことも多く、改善したあとも再発予防に努め続けなければならない病気です。

少しでも順調な治療に繋がりますように、この記事が参考になれば幸いです。

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